企業監査はコンピュータ化しないと機能しない

ニデックの不正会計は創業者の永守氏のせいにされていますが、監査法人の責任も重大です。監査法人はこんなことを防ぐためにあります。ニデックの監査法人はPcWjapan監査法人(PcW=プライスウォーターハウスクーパース)となっていますが、PcWjapanは2023年にPcW京都監査法人とPcWあらた監査法人が合併して誕生したもので、ニデックはPcW京都監査法人から長らく監査を受けていました。PcW京都監査法人は旧みずず監査法人が不祥事で業務停止となり解散した際に京都事務所に所属していた公認会計士が集まってできた監査法人で、京セラの稲盛会長の支援があったようです。そのため顧客には京セラ、ニデック、任天堂と言った京都の有力企業を抱えています。このような経緯がありPcW京都監査法人は顧客企業と近すぎるという批判があったようです。ニデックについては2023年に、2022年中間決算で配当可能額を超えた違法配当が行われたことが明かになり、PcW京都監査法人の監査が機能していないことが指摘されたことからPcWあらた監査法人と急遽合併し、PcWjapanとして監査した結果今回の会計不正が明るみに出たものと予想されます。そうだとすればPcW京都監査法人時代に監査を担当していた公認会計士の責任は重大です。十分な報酬を受け取る代わりに監査を甘くしていた、会社の意向に沿って監査を実施していた可能性が大きいように思われます。やはり源流である不正監査法人の血は争えないようです。今後PcW京都監査法人の監査を受けていた企業の会計書類の適性性に疑念が持たれることになります。PcW京都監査法人の最大顧客であるKDDI(京セラ稲盛氏が創業者)では子会社ビッグローブで2,460億円に上る循環取引が行われた疑いが出てきており、PcW京都監査法人の監査が機能していなかったことが明かになっています。

これほど酷くなくても監査法人の監査は信頼できないと思った方がよいと思われます。監査チームは責任者のもと少数のベテラン(公認)会計士、多数の中堅会計士および若手会計士で構成されますが、監査企業の経理システムはどこも業務内容に応じた独特なものとなっており、内部で経理や原価計算などの実務を担当したことがないと短時間で理解するのは不可能です。そのため監査は監査対象企業の実務担当者が担当会計士に実務を教えることから始まり、本当に実務を理解するには数年を要すると考えられます。そして理解力は公認会計士ごとに差がありますから、監査は相当粗いものにならざるをえません。監査チームの責任者の仕事は、監査先の担当役員や経営者と交渉して監査報酬の引き上げを勝ち取ることであり、そのための手段として多少の不備不正には目を瞑ると言われています。このように人が監査している限り正確な監査は不可能です。

最近の大企業では、会計処理はほぼコンピュータで処理されていますから、監査もコンピュータでできることになります。3つ4つの経路から会計処理を追っていれば大きな不正は発見できるはずです。コンピュータで監査できない会計処理は、取引として不適当ということになります。最近の金融取引では数学を駆使した商品が増えていますが、これも監査できるシステムがあることを前提に認められるべきです。このようにして会計監査はコンピュータ監査に移行しない限り会計書類の正確性は担保できませんし、監査コストが監査効果に見合わなくなっています。今後はしょうもない監査に大金を払うのが嫌で上場しない、または上場を廃止する会社が出てきます。コンピュータ監査に移行する必要があります。