NHK受信料は世の中で一番不条理!

昨日(4月10日)の新聞に、NHK放送センターの新築工事が573億円で落札されたとの記事がでていました。このお金は受信料を積み立てて準備されているようですが、NHK受信料は、世の中で一番不条理な制度だと思います。以下、その理由です。

1.NHK受信料が不当である理由

(1)見ないのに受信契約を結ばされる

契約とは、個人・法人間の合意に基づき成立するもので、成立の前提には物またはサービスの提供と対価の支払い関係が存在することが必要ですが、NHKの受信契約は、見ない人にも受信契約を結べというものです。例えば、ガスは使わないのにガス契約を結ばされる、デパートで商品を買っていないのに売買契約を結ばされるようなものです。さらに言えば好きでもないのに婚姻届けに押印させられるようなものです。憲法で一番重要な原則は、個人の意思の尊厳です。NHK受信契約は、個人の意思の尊厳を踏みにじる点で悪質です。というより不条理です。受信契約に代わる手段はありますから、公共の利益による制限を逸脱しています。昨年12月の最高裁判決は、最高裁の権威を大きく失墜させました。

(2)低所得者の負担が大き過ぎる

NHK受信料は、全世帯一律負担となっているため、低所得者世帯ほど重い負担となっています。例えば、年間所得200万円の世帯の受信料負担は年間26,760円で、所得に対する割合は1.34%です。各世帯が所得に応じてこの割合で負担するとすると、年間所得428万円(日本の世帯所得の中央値)の世帯の負担額は57,350円、年間所得800万円の世帯の負担額は107,200円になります。もし今の受信料総額を所得に応じた受信料にするとすれば(5,000万世帯で計算)、中央値所得の世帯が年間約14,000円程度、年間所得800万円の世帯が月26,000円程度、年間所得200万円の世帯が年間約6,500円程度の負担になります。このように現在の受信料は、低所得者に加重な制度になっているのです。

(3)受信料未払いの多くは生活苦から

受信料未払い者は、全対象世帯の約900万世帯(約18%)と言います。年間所得200万円未満の生活者が約1000万人(約23%)と言いますから、受信料未払い者の数と割合とほぼ一致します。年間所得200万円未満と言うことは、所得税と社会保険料を差し引くと使えるお金は約150万円以下です。これは年間の生活保護費に近い金額です。生活保護世帯は、医療費は免除され、受信料も免除されていますが、年間所得200万円未満の生活者にはこれらはありませんから、実質的には年間所得200万円未満の生活者の方が苦しい生活です。生活保護費は、憲法で保障された「健康で文化的な必要最低限の生活に必要な費用」とされていますから、年間所得200万円未満の生活者にも生活保護者と同様な保護が行われる必要があります。なのに、生活保護を申請しないことを悪用して、受信料を徴収するのは人道に悖る行為です。

(4)受信料で民間放送部分まで徴収している

「国民の生命と財産を守るための放送」として、公共放送の必要性は否定しません。NHKの放送のうち公共放送と言える内容といえば、日々のニュース、天気予報、国会開催中の国会中継、選挙時の政見放送、災害発生時の災害放送くらいです。残り80%以上は、民間放送と変わらない内容です。とくに衛星放送は、メジャーリーグや海外サッカーなど娯楽番組中心であり、スカパーなど民間の衛星放送と変わりません。即ち、NHKは20%程度の公共放送をもって公共放送局と称し、民間放送部分の費用まで受信料で徴収しています。

(5)生活保護費、年金カットの中で、受信料の見直しは必須

日本はバブル崩壊後長い間デフレに苦しみ、国民は所得を大きく減らし、節約を重ねて切り抜けてきました。食品や衣料品など生活必需品の物価が下落したから対応できました。しかし、その間もNHKの受信料は下げられていません。この長いデフレの期間、NHKだけがデフレの影響を全く受けずにやってこれたのです。それこそ「母屋がお粥をすすっているのに、離れではすき焼きを食っている」状態です。今日本では財政が苦しいとして生活保護費や年金支給額のカットが実施されようとしています。このように生活費が減らされるのなら、国民にとり必要性が低い受信料は大幅にカットされるべきです。