森友情報リークは検察庁の非公式発表?
森友問題に関して先月決裁書を偽造していたという報道がなされ、案の定事実であることが確認され、財務省の当時の担当局長が辞職するという電光石火の展開がありました。報道した朝日新聞は、偽造の証拠を入手していたと言いますから、その出し手は近畿財務局か大阪地検特捜部しかありえません。ではどちらかというと、その後大阪地検特捜部が掴んだ情報としていろんな情報が報道されていることを考えると、大阪地検特捜部から出たものと考えた方がよさそうです。では、捜査に加わっている検事の誰かが情報を漏らしているのでしょうか?大阪地検特捜部で森友事件の捜査に関係している検事は限られており、もし誰かが漏洩しているとすれば、特定するのは難しくないと思います。検察庁が情報漏洩者の捜査をしているということも聞きませんから、本件漏洩は、検察庁上層部の承認のもと大阪地検特捜部が組織として行っていると考えた方がよさそうです。それは、森友問題の処理について検察庁と官邸との間に妥協が成立したからでしょう。その妥協の内容は、検察は偽造を指示した佐川氏以下関与者を公文書偽造・同行使罪などで起訴しない、けれども事実関係はマスコミを通じて明らかにし、社会的制裁を受けさせるというものです。決裁書の偽造は、国会と国民を欺いており、昨年の総選挙で国民の審判を誤らせるという重大な不利益を発生させています。従って、公文書偽造・同行使罪で起訴する方が妥当だと思います。しかし、今の法務省の事務次官は官邸のお気に入りという報道ですから、官邸、事務次官など法務省事務側と検事総長など検察実務側とで激しい議論があったものと思われます。その結果、起訴はしないが、事実関係はマスコミへのリークという形で公表し、責任者には社会的制裁を受けさせる、ということで妥協が成立したものと思われます。そうでもしないと、捜査担当検事たちの不満を押さえられず、検察に対する国民の信頼も地に落ちます。従って、これまでの捜査情報の漏洩は、官邸と検察庁合意の上でのリークであり、言うならば検察庁の非公式発表のようなものです。従て、秘密漏洩罪に問われるようなものではないのです。しかし、検察の意思決定を官邸がコントロールするとなると、日本も韓国のように政権交代後に前政権の担当者を起訴するという事態になりそうな気がします。