「加藤清正、神になった男」でNHK大河ドラマを
2020年のNHK大河ドラマは、明智光秀が主人公の「麒麟がくる」に決定したという報道です。今年が幕末が舞台の「西郷どん」で、来年が主に昭和が舞台の「いだてん」、2020年は戦国時代の番のようです。「いだてん」は熊本出身のマラソンランナー金栗四三が主人公の1人ということで、熊本地震から復興しようとている熊本応援の意味合いもあるような気がします。でも熊本の多くの人が望むのは、加藤清正を主人公としたNHK大河ドラマです。2016年3月14日の熊本地震の激しさは、崩落した熊本城の石垣や屋根の瓦が無くなった熊本城天守、隅石一本柱に支えられた飯田丸五階櫓のテレビ映像を通じて全国に伝えられました。直接人々の生活に関係ない熊本城の復興よりも、被災者の住宅再建や生活再建の方が重要ですが、全国の人たちは熊本城の復興を通じて熊本の復興を感じるというのが実情だと思います。熊本城天守は2021年に再建が完了する予定ですが、それに合わせて熊本城を築いた加藤清正を主人公としたNHK大河ドラマができれば、これ以上の熊本応援番組はありません。しかし、歴史上加藤清正が活躍するのは、1592年から1598年までの朝鮮の役であり、これは侵略戦争であることから取り上げる訳にはいきません。そうなると対象となる清正の人生は、1598年12月に帰国してから死去する1611年までのわずか12年間となります。その中で清正の活躍を拾うと、1599年3月の七将襲撃事件、関ケ原の戦いの際の九州での宇土城攻めや立花宗茂説得、家康と豊臣秀頼の二条城会見の設定くらいです。その後の一大事件である大坂の役の際には、清正はいません。これで分かるように、清正1人を主役とした大河ドラマは成立しません。しかし、清正の正室清浄院の関ケ原の戦い前の大坂脱出劇や長女かな姫の徳川四天王の1人榊原康政嫡男への嫁入り、その後の大坂城代阿部正次嫡男への嫁入り、次女八十姫と家康十男頼宜(初代紀州藩主)との婚約・嫁入り、忠廣が藩主に就任した後に起きた牛方馬方騒動、忠廣嫡男光正の某書事件と加藤家改易、忠廣の配流先での生活、忠廣死去後の清正の遺品引継ぎを巡る動き、更には八十姫の孫にあたる吉宗の将軍就任と清正の復活、吉宗の孫にあたる松平定信による清正神格化など清正一族を巡る物語にすれば、面白い大河ドラマとなります。大河ドラマの題名は「加藤清正、神になった男」です。清正が神様にまで上り詰めたのは、長女あま姫と次女八十姫の存在があったからです。