七転び八起き
4月18日の日経ネット版に、次の記事が出ていました。
「国産ジェット機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」を開発している三菱航空機は18日、7月に英ファンボローで開く国際航空ショーでMRJの機体を実際に飛ばす「フライングディスプレー(飛行展示)」を初めて実施する方針を明らかにした。・・MRJは事業化当初の計画から、納期が約7年遅れている。「七転び八起き」で航空機事業の離陸を目指す考えだ。」
ここで使われている「七転び八起き」は、「何回失敗しても屈せず立ち上がること」という意味で使われいます。一般的にも、苦労して最後には成功した人を称賛する場合に使われることが多いように思います。この言葉ができたのは、歴史上の実話か寓話上、事業に7回失敗したけれど、そのたびにくじけずに再挑戦し、8回目には成功した人がいたからでしょうか。ではこの人はその後どうなったのでしょうか?そのまま成功者でいたのでしょうか?
この場合、事業投資の仕事をしている人は、その人はまた失敗したか、死んでしまったのではないか、と考えます。
若くして大きな成功する人は、成功が持つ何かに惹かれ、大きな失敗を繰り返す人は、失敗が持つ何かに惹かれるように見えます。一度大きな成功をした人は成功を繰り返し、一度大きな失敗をした人は失敗を繰り返す傾向があります。事業では、どう進んだらよいか分からない成功と失敗の分かれ道に何回か出会います。成功者は、その時成功に通じている方向にハンドルを切り、失敗者は失敗に通じている方向にハンドルを切ります。そして失敗者は、その失敗を心から反省し、その経験がその後その人の認識センサーになることがあります。どういうことかというと、大きな失敗をした人は、ビジネス機会にでくわしたとき、「ああ、これはあのとき失敗したケースに似ている」と感じ、認識します。しかし、詳しく調べていくと似ていると感じたことが実は違うと思えてきます。そして最後には、「これはあの失敗したケースとは違う」と判断し、取引関係に入ります。しかしこれは、最初の認識の際に感じたことが正しかったということが多いのです。このように一度大きな失敗をした人は、失敗したケースが認識センサーになってしまい、すれ違いざまに失敗したケースと似たビジネス機会を捕まえます。一度大きな成功をした人は逆で、すれ違いざまにその成功に似ているビジネス機会を捕まえます。幸運の女神は後ろ髪を捕まえていたら手遅れで、出会った瞬間に前髪を捕まえにいかないといけませんが、成功体験者はこれができるのです。
このように、七転び八起きという言葉は、事業投資の評価の際には、ネガティブな意味合いとなります。