危ない町内会の会費徴収手続き

毎年4月になると郵便受けに町内会の会費を入れる封筒が入れられています。そしてその後暫くして、「町内会費をお願いします。」と訪ねてきます。私は常々この町内会の会費徴収のやり方は危険だと思っています。町内会への加入は義務ではなく、任意です。ようするに町内会は、同好会、サークルと同じなのです。ところが田舎などでは、町内会で祭りを行い、神社の掃除、道路の草刈りや溝浚いなども町内総出で行うため、全員参加の形で運営されています。もし町内会費を払わないなどと言おうものなら、村八分です、こういう環境で育った人たちの中には、町内会への参加は義務で、会費は払わなければならないものと誤解している人たちがたくさんいます。今の町内会の会費徴収のやり方は、住民のこの誤解を利用したもののように思われます。そもそも町内会への加入申込書を出していないのに、会費の徴収封筒を郵便受けに入れ、その後徴収にくることがおかしいのです。加入申込書を出していないということは、会費を徴収する根拠がないということです。法的に正しい手続きとしては、町内会への加入は任意であることを説明したうえで加入を勧誘し、加入申込書を受領したあと、会費の徴収をしなければならないのです。

今のように住民が申込書も提出していない中で町内会費徴収を行っていると、いずれ住民から町内会費支払いは義務だと誤解して町内会費を払っていた、町内会の役員は誤解していることを利用して町内会費を徴収していたとして、これまで支払った会費の返還請求を受ける危険があります。場合によっては、誤解させて会費を徴収していたとして不法行為責任を問われることもあると思います。そして留意しなければならないのは、会費の返還請求を受けるのは、権利義務の主体になれない町内会ではなく、町内会長や役員個人だということです。こういう危険を避けるため、少なくとも町内会への加入申込書を取ったあと会費を徴収された方が良いのではないでしょうか。