携帯電話事業、回線保有会社とサービス会社に分離を!
携帯電話3社は、年間約12兆円の収入を得、営業利益は約3兆円、営業利益医率は約25%もあります。業界3位のソフトバンクでさえ、国内通信事業で年間約7,200億円の営業利益を上げており、これがソフトバンクの派手な海外M&Aや投資の原資になっています。即ち、ソフトバンクの派手なM&Aや投資のスポンサーは日本の家計なのです。
家計から年間約12兆円のお金が携帯電話3社に吸い上げられることは、どう考えても納得いきません。アップルやグーグルなど今までなかったものを事業化したのなら、いくら稼ごうが文句をいう筋ではありませんが、国民の電波を使った公益事業、インフラ事業を利用して、家計からこれだけの資金を吸い上げるのは暴挙としか言いようがありません。そしてこれのシステムを作っているのが総務省なのですから呆れます。
この短期的解決方法としては、1つは、回線使用料を半額程度に引き下げること、2つ目は、2年縛り、4年縛り契約を不公正な取引方法として禁止すること、が考えられます。回線使用料については、総務省でやることですし、2年縛り、4年縛りの禁止については、公正取引委員会がやることです。憲法上契約自由の原則がありますが、公共の利益の制限を受けますし、公正取引委員会には、公共の利益を害すると判断する場合、契約自由の原則を制限する権限があります。公正取引委員会は与えられた使命を果して欲しいものです。
更に今後の通信事業の発展のためには、回線保有会社と電波を利用するサービス会社を分離すべきだと考えられます。電力では、送電線会社と電力販売会社が分離されることが決まっていますから、当然の流れです。そうしないと、回線を所有する3社とそれを借りてサービスを行う会社が対等に競争できません。回線を借りて携帯電話サービスを行う会社を格安スマホとか言っていますが、携帯3社の収入は殆ど減っていないのですから、家計の負担は減っていないのです。今の制度では、携帯3社の高収益を維持する効果しかありません。携帯3社の現在の暴利は、回線を保有していることによるものであり、サービスによる競争になっていません。
ソフトバンクグループでは、国内通信事業会社ソフトバンクを年内にIPOする計画という報道です。また米国で2兆円以上を費やして買収したスプリントをT-モバイルと合併させることを決めたという報道です。これらは、今後行われる通信改革により、国内の携帯電話事業の利益低下を見越した決定です。国内の携帯電話事業の利益が大きく減少する前に、15兆円とも言われる借入金を減らしておかないと大変なことになります。
2019年10月から消費税2%の引き上げが予定されています。この金額が約5兆円です。賃金引上げのニュースがありますが、これは大企業中心であり、この恩恵を受けられない国民が多数派です。多くの家計では、消費税2%の負担が懸かってきたら、また節約に走るしかありません。その結果デフレに逆戻りです。家計が消費税引き上げに耐えられるようにするには、その金額に見合う負担を減らしてやる必要があります。それには携帯電話料を思いっきり引き下げるしかありません。