人口減少がもたらすコンパクト・ジャパン

今後日本は人口減少が進み、50年後には現在の約1億2000万人が9000万人を切るという予想です。これと同時に高齢化が進みますから、想像しただけでも恐ろしい社会になりそうです。既に地方の中には人口減少が著しく、かつ高齢者の割合が高くなっているところが出てきています。そういう地方では、道路・水道などのインフラ投資に回せる予算がなくなり、町の中心部にインフラ投資を集中し、住民にそこに住むよう促す動きがあります。コンパクト・シティと呼ばれる現象です。ヨーロッパではこれが普通の居住形態ではないかと思います。今のように人口密度が少ない所まで水道を引いたり、道路を舗装したりするのはコストパフォーマンスの面からはありえないことでした。やっと当たり前の形に移行してきたということだと思います。

ここから言えることは、日本全体としてもコンパクト・ジャパン化するということです。どういうことかというと、今後日本としてもインフラ投資は東名阪に集中し、企業立地も東名阪に集中することが予想されます。即ち、地方には公共投資も減少するし、工場立地も少なくなるということです。その結果、東名阪への人口集中が進むと思われます。と言っても東名阪の人口が増加するわけではなく、減少はするけれどその他の地方より小さな減少率に留まるけれど、日本全体の人口に対する東名阪の人口の割合が高まります。特に若者の割合についてはその他の地方と顕著な差が生じるでしょう。

従って、今田舎に住む年老いた親御さんたちは、自分たちの世話のために都会に住む子供さんたちを田舎に呼び戻したらいけません。子供さんたちが人口減少地域の悲哀を味わうことになります。どうしても近くにいて欲しいのなら、親御さんたちが子供たちが住む都会かその周辺に引っ越した方がよいでしょう。逆移住です。都会には住めないとお思いの親御さんも、東名阪でもそう遠くないところに田舎がたくさんあります。お子さんの住む都市部の周辺の田舎に引っ越せば、何かあったときにはお子さんが駆けつけてくれるという安心感が得られます。お子さんを田舎に呼び戻すというのが最悪の選択です。