田舎の空き家は賃貸後無償譲渡が得では?

最近人口減少が著しい田舎では空き家が増加しています。そういう空き家でも以前は貸し出すことは殆どありませんでした。親が亡くなったら、空き家のままにし、たまに帰ってきて掃除するか、近所の人にお金を払い定期的に空気の入れ替えをお願いする等していました。しかし、最近は、移住の促進のため行政が主導した空き家バンクなどにより、空き家を貸し出す動きが出てきています。

私も空き家バンクをよく覗くのですが、どうもおかしいなと感じることがあります。空き家として掲載されている物件の貸し出し条件がおかしいのです。先ず多いのが補修を要するという物件です。親御さんが無くなってから長い間空き家になっていたのを、行政の勧めに依りしぶしぶ貸し出しを承諾したものと思われますが、床や畳の張替え、台所の水回りの補修などが必要であり、借り手で行うことなどという条件が付いている物件が多いのです。要するにそのままで貸せる状態にない物件が多いのです。それなのに賃貸料はそれ相当です。都会の賃貸料と比べたら相当安いのですが、そもそも賃借りニーズがないところであること、および補修費用負担を考えたら割高です。貸すのなら、少なくとも補修が必要な部分は貸し手でしっかり補修して貸し出すべきだと思います。もし借り手が補修したら補修部分の所有権はどうなるのでしょうか?退去時に問題になりそうです。

奥多摩町が22年間継続して住めば、土地付きの新築家屋を無償譲渡する制度を作ったということをテレビのニュースで取り上げていました。。22年間は月5万円の賃料ということですから、22年間では賃料総額1320万円となります。ということは、貸し出す町としたら22年間で建物建築代は回収できるのではないでしょうか。建物は20年もすると水回りや床などリフォームが必要となりますから、リフォームするよりも無償で譲渡した方が得という判断でしょう。この制度は、実質22年たった建物の無償譲渡制度なのです。無償譲渡を受けると50坪の土地代は助かることになりますが、土地は坪5万円として250万円です。奥多摩町は今後間違いなく大幅な人口減少に見舞われますから、土地代は下がるでしょうし、そもそも買い手がいない可能性が高いと思われます。従って経済価値がないことになります。メリットは子供手当が月1万円付くということでしょうが、これも生活の基盤となる職場があってのことです。もし地元かその周辺に一生務められる職場がないのなら、22年以上もそこに定住する可能性は高くないと考えらえます。即ち、よく考えるとこの制度はそんなに魅力はないように思われます。

田舎の空き物件は、安く貸し出し、借りてくれれば3~5年で無償譲渡とすることを考えた方が良いと思われます。管理の手間とコストが省けますし、将来解体費用が助かります。何よりも使用しない不動産を持ち続ける精神的負担から解放されます。