田舎の自治会、地域新生の阻害要因

日本の田舎が消滅危機にあります。50年後には日本の人口は約1億2000万人から約9000万人に減少するという予想ですから、現実に住人がいなくなる地域がたくさん生まれると思われます。これを防ぐべく多くの自治体が様々な支援策を用意し、都会からの移住を呼び掛けています。都会の人たちが地方、特に田舎への移住に踏みけれない障害はいくつかありますが、田舎出身者の多くが賛同するのは、田舎の自治会の強さです。地域を活性化する活動ならよいのですが、地域の変化を阻害する、現状を変えないための活動になっています。確かに、祭りの主催や清掃活動など有意義な活動も多いのですが、その他何かにつけ一体的行動を求めます。もし従わない場合、村八分です。そもそも自治会は任意参加のはずですが、田舎の場合、全員参加が不文律になっています。参加せず会費を払わないとなると、脱税者のような扱いです。今の田舎は老人が圧倒的に多いですから、自治会長以下役員は、地域で発言力の有る老人が占めることになります。そしてこの人たちが決める自治会の決まりごとは、地域の人たちを拘束するルールとなります。地方議会の条例より拘束力があります。地域の住民は、農地や山林、先祖代々の家などを守るためにその地域に住んでいるため、同意できないからと言って逃げ出せないのです。都会なら嫌なことがあったら引っ越せば良いですから、ここが都会と大きく違うところです。

田舎の住人さえ嫌がる自治会支配ですから、都会の人ならなおさらです。都会では隣近所でも相互不干渉、適度な距離を保って生活しています。それが移住してきたら、ああしろ、こうしろ、これはするな、と偉そうに指図する田舎の自治会は耐えられない存在です。

そもそも田舎が消滅寸前まで来ているのは、田舎の自治会に大きな責任がります。変化を阻止し、現状維持を図ってきたから今のようになったのです。それがこのまま支配を続けたら、消滅まで行くのは必然です。

田舎の自治会が強いのは、行政が住民管理の手段として利用していることも大きな原因です。住民を行政の考える秩序の中に閉じ込めるには、自治会は便利な組織です。従って、行政がこの考え方を改めない限り、田舎における自治会の強大さは変わらないと思われます。

地方の行政が本当に都会から移住者を迎え、新しいコミュニティを作り上げたいのなら、自治会の役割を低下させる必要がります。その分、青年団や趣味のサークル、ボランティア団体を支援し、声を吸い上げ、行政に生かす必要がります。新しい地域は、若者やよそ者、ボランティアからしか生まれません。田舎を消滅させなくなかったら、田舎の自治会は、その機能、役割を見直す時期に来ていると思います。