土地所有権放棄制度で営農面積の拡大を

政府は、土地所有権放棄制度の検討に入ったとの報道がりました。ぜひ必要だと思います。私がこの制度で実現を期待するのは、農業従事者の営農面積(経営規模)の拡大です。今後人口が減少し、日本の人口は、50年後現在の12,000万人から9,000万人をきる水準になると予想されています。これと同時に都市圏への人口集中が進むと考えられ、農村地帯は集落消滅地区が多数出現すると思われます。問題は、この状態をどうやって底打ち・反転させるかですが、農村地帯については、農業従事者が減った分、残った農業従事者の営農面積を拡大するしか方法はありません。すなわち、廃業および離村した農業従事者の農地を、そこで農業を営む人に配分し、営農規模を拡大することが必要です。例えば、農業従事者1軒当たり2haの営農面積を10ha以上にまで引き上げます。そして農業法人化を進めます。そうなれば農業従事者の週休2日制も可能となります。今のまま農業従事者が減り続けると、主食のコメが足りなくなるばかりでなく、野菜なども供給不足になってくると思われます。農業従事者が減った分営農面積の拡大で、これらの供給不足を防ぐ必要があります。

農地の相続についても見直しが必要だと思います。現在の制度では、農地を所有していた親が亡くなった場合、子供は農業に従事しないにも関わらず農地を相続できます。しかし、相続以外の取引では、農業に従事していない者は農地を取得できません。これは農地保護の観点から規制されたものであり、相続の場合も農業に従事しない者に無条件に農地の相続(取得)を認めるのはおかしいのです。従って、相続者が農業に従事しない場合、相続者は農地を相続できず、農地は農業従事者に譲渡するものとします(相続人は譲渡代金を相続する。非課税。)。購入者がいない場合は、農地保全公社(新設)が取得し、農業従事者に賃貸または譲渡します。これによって、相続による農地の荒廃を防ぎ、農業従事者の営農規模拡大を図ります。

農業従事者は、営農規模を拡大しない限り、存続できませんし、農村地帯の反転・再興もありません。土地所有権の放棄制度は、この政策に役立つと思われます。