就職はコネがものを言うのは当たり前

今年の学生の就職決定状況は好調のようで、すでに6割は内定しているという報道です。経団連の指針によると6月から面接などの選考開始、決定は10月以降ということですが、早く優秀な学生を確保したい企業、早く希望の会社への就職を決めたい学生の思惑から、この指針に関係なく前倒しで進むのは当然です。

もう一つ学生が知っておかなければならない現実があります。それは、就職はコネがものを言うという現実です。経団連の指針には、1番目に「公正・公平な採用を徹底する」と書いてありますが、これがこの現実をよく表しています。採用の基本は、コネがあるかどうかです。コネの第1は、親の勤務先です。親が勤務している会社が採用することはないかも知れませんが、親の会社が属するグループ企業(特に財閥系)の採用で、これがものを言います。例えば親がA銀行に勤務する幹部であれば、A銀行では採用せず、グループのB生命保険やC損害保険で採用します。その代わりB生命保険やC損害保険に勤務している幹部の子弟をA銀行で採用します。親が同じグループの会社の幹部であるということは、安心感や信用、取引上のメリットになるのです。自明のことでしょう。こうして財閥系企業グループでは、グループに勤務している子弟を優先的に採用する制度(あるいは慣習)が出来上がっていると思います。どの親も自分の子供はいい会社に入れたいと思いますから、当然できてくる制度です。慶応大や早稲田大が系列高校からの内部進学者が約4割を占めるのと同じ構造です。それ以外が本当の競争採用になります。コネがないのに本当にこういう企業に入りたかったら、学生時代にその企業が採用したくなる武器を身につけておくことです。例えば、財閥系商社に入りたかったら、英語は外国人との会話で問題ないレベル、海外生活も経験している、簿記の資格もあるくらいの準備が必要です。学生時代に遊ぶ余裕はなくなります。すべて就職準備活動と位置付ける必要があります。

このように日本では、すでに親の職業的地位で就職先が決まる身分制度に近いシステムが出来上がっています。今後就職する若者は、この現実を認識して準備をする必要があります。