総務省、低所得者いじめの2つの保護監督行政

総務省は名前からして何をしている官庁かよく分からないところがありますが、昔の自治省が母体であり、地方自治体の監督が主な仕事です。そのため、国民に直接接することがなく、国民から直接批判されることもありませんでした。しかし、実は総務省こそが国民、特に低所得者を苦しめている元凶です。総務省が低所得者を苦しめている行政として、誤った2つの保護監督行政があります。

1つは、携帯電話会社に対する保護監督行政です。この仕事は旧郵政省から引き継いだもので、古くは逓信省の流れを汲むものです。旧逓信省は、旧電電公社という実働部隊を持ち、政財界に強大な勢力を持っていたようです。その後電電公社の民営化(NTT)を経て、かなり影響力は低下しましたが、尚電気通信業界で圧倒的な力を持っています。総務省でこの部隊が行っているのが、携帯電話会社の保護監督行政です。これが国民の生活を忘れて暴走したのが、携帯電話事業による家計からの収奪です。この3月決算を見ると、携帯電話3社は、売上高約13兆円(ソフトバンクは国内通信売上のみ加味)、営業利益約2兆6,000億円あります。営業利益率は約20%です。これだけ吸い上げられると家計は青息吐息です。電力会社9社の同期が、売上高約19兆円、営業利益額約9,800億円、営業利益率は約5%ですから、いかに携帯電話3社が暴利を貪っているかがわかります。携帯電話会社の首脳の1人が、「私どもは、総務省が決めたルールに乗っ取ってやっているだけ」と述べている通り、この暴利システムは総務省が作り上げたものです。国民に奉仕する公務員の本旨を忘れて、保護監督業者の利益の極大化に現を抜かしています。まるで時代劇の悪徳商人と悪徳代官・奉行の関係に重なります。現在一人当たりの携帯電話料金は6,000円程度と言われていますので、光回線の固定電話にPCを持っていたら1人当たり月1万円程度かかっていることになります。最近は企業業績が好調で賃上げを行う企業も多いですが、バブル崩壊後20年以上所得は下がり続けてきました。その中で通信費用は上がり続け、国民の家計を圧迫してきました。低所得者は、食費を減らして対応してきたのが実態です。

2つ目は、NHKに対する保護監督行政です。NHKも総務省の所管で、あの悪名高いNHK受信料も総務省の承認がない限り減免や免除できません。総務省は1950年にできた放送法を盾にして、NHKを、NHK受信料制度を守っています。NHKは、戦後民間放送局がなかった時期に作られて、当初は民間放送が提供するような番組も提供する必要があり、現在に至っています。今のNHKの放送内容を見ると、民間放送と同じような番組が多いのはこのためです。本来の公共放送と言えるのは、全体の20%もないと思います。残りの80%は民間放送が提供すべき内容です。NHKは、公共放送と称して、民間放送の内容まで受信料として徴収しているのです。NHK受信料は受信契約に基づく対価という位置付けですが、これは詭弁です。見る見ないにかかわらず払えというのですから、これは公共放送負担金、すなわち税金です。ならば、所得に応じた負担にしなければならないのです。それを所得に関係なく一律月2230円としていることから、低所得者に負担の大きいものとなっています。現在NHK受信料の未払い者は約900万世帯、受信世帯の約20%あると言われていますが、これは不届きで払わないのではなく、生活が苦しく払えないのです。なんとNHKは、住民税非課税の世帯からも徴収しているのですから、いかに阿漕か分かります。

NHKは速やかに公共放送会社と民間放送会社に分離し、公共放送分だけ、所得に応じて公共放送負担金(目的税)として徴収する制度に変更すべきです。そうすれば、受信料未払いや契約めぐるトラブルなどNHKをめぐる問題はすべて解決されます。これを阻止しているのが総務省なのです。

このように総務所は、携帯電話会社とNHKを保護監督下に置き、不条理にも低所得者に重い負担を押し付け、携帯電話会社やNHKの利益の極大化を図っています。総務省のこれらの担当者は、公務員としての自らの使命を再考し、低所得者でも生きていける制度を考えて欲しいと思います