地方への移住促進よりも都会への人口集中が得策

日本の人口は2015年度の約1億2700万人から2065年には約8800万人まで減少すると予想されています。これは今の死亡と出生率に基づいて計算していますから、かなり正確な予測だと思われます。この予測に基づくと、住む人がいなくなる地域が多数現れ、地方では生活基盤の低下が進むと考えられます。

これを防ぐため、政府は、若者の地方への移住促進策を検討しています。地方自治体が移住者を呼び込みことは分かりますが、政府が今この政策を採るのは間違いだと思います。なぜなら、地方の人口減少は、職場がないため若者が都会に流出することが最大の理由であり、この状況が改善されない限り、根本的解決にならないからです。安定した職場もないのに、暫くの間生活支援金を支給することを条件に若者を地方に移住させることは、若者の長い人生を考えない無責任な政策だと思います。

今は地方でも人口の少ない地域まで上水道が引いてあり、道路も舗装してありますが、今後人口が減少すれば、これは困難になります。そして、地方都市では、上水道料金、ごみ収集料金などの生活コストが上昇することが考えられます。即ち、人口減少社会では、地方は生活コスト面でも魅力がなくなります。

人口減少社会で一番問題になるのは、都会の人口が減少し、折角構築された生活インフラを維持できなくなることです。東京圏はそうでもないですが、関西圏などでは、周辺部で人口が減少してきて、そこまで張り巡らされた鉄道網、バス網などが維持できなくなってきているように思います。東京圏や関西圏の魅力は、鉄道などの交通インフラが発達していることであり、今後の人口減少社会においても、これを生かさない手はありません。そのためには、今後の人口減少社会において、東京、関西圏の人口減少を少なくすることが大切だと思われます。即ち、若者の地方への移住を促進するのではなく、むしろ東京圏、関西圏および名古屋圏に人口を集中させる政策こそ必要になるように思います。少なくとも、今は若者に地方移住を勧めるときではありません。