社外取締役、一線を退いた人は避けるべき

現在日本の企業統治においては、社外取締役を増やす方向にあります。これは、社内からの就任では、社長などの先輩取締役に遠慮し、主体的な意見を述べることや判断することができず、不祥事を防げないという考えに基づくものです。これは事実であり、妥当性があると思います。問題は誰を社外取締役に選任するかがです。社長に気兼ねすることなく、自分の意見を言え、適格な判断を下せる人でなければなりません。現役の経営者が一番望ましいのですが、そういう人は忙しく何社もの社外取締役に就任することはできません。そうなると、一線を退いた企業の取締役や幹部だった人にお願いすることになります。しかし、ここで気を付けないといけないことは、毎日会社で業務に従事していているからこそ適切な意見を言い、適格な判断を行えるのであり、一線を引いて普段は悠々自適の生活を営んでいる中で、毎月あるいは3か月に1度取締役会に出ても、それは困難だということです。すべて過去の経験に基づく意見や判断になってしまい、現実妥当性が疑わしいものとなります。社外取締役(社外監査役も)は、実践感覚が不可欠です。現に会社で業務に従事している他社の取締役、幹部社員などに依頼すべきで、一線を退いた人は例え以前取締役などの経験があったとしても避けるべきだと思います。戦場に退役して老後の生活を楽しんでいる軍人を連れてくるようなものです。