九州は早期に道州制に移行すべき

九州は早期に道州制に移行すべきだと思います。理由は、間違いなく訪れる人口減少による九州の地盤沈下を少しでも食い止めるためです。日本の人口は2015年の1憶2,700万人から2065年には約8,800万人に減少することが予想されています。九州の人口も2015年の約1,450万人から2045年には約1,200万人へと約250万人減少することが予想されています。こうなると九州は日本のお荷物になる可能性が大きいと思われます。

九州の経済力を県民1人当たり所得で見ると、如何に低いかが分かります。九州トップの福岡県が全国の27位です(275万円。2016年度の統計)。あとは大分県33位(260万円)、佐賀県39位(253万円)、鹿児島県42位(243万円)、熊本県43位(242万円)、宮崎県44位(242万円)、長崎県45位(238万円)、沖縄県47位(210万円)となります。これを見れば分かるように九州の県が下位を占め、経済的には九州が日本で一番貧しい地域であることが分かります。多分九州の人たちは、東北の方が貧しいというイメージを持っていると思うのですが、福島県20位(291万円)、宮城県26位(280万円)、岩手県28位(275万円)など九州より豊かなのです。

原因は、東北は場所的に大市場の首都圏に近く、そのため工場が立地しやすく、農業でも果樹などの商品作物を多く栽培し、首都圏の市場に出荷し易いことがあります。九州から見ると東北は辺境の地のように思えますが、日本の中心東京から見ると九州が遥かに辺境の地です。

九州には農業県が多いですが、東京の食糧は主に関東圏や東北からの供給で間に合います。大阪・神戸・京都などの関西の大都市の食糧は、関西や北陸、中国からの供給で賄えます。名古屋を中心とした中京圏の食糧は、中京・東海からの供給で賄えます。このように東京や大阪、名古屋などの大都市は、九州からの食糧の供給を必要としていないのです。従って当然九州の所得は少なくなります。九州は国からの税金の交付により支えられていることになり、日本のお荷物になっているとも言えます。そしてこの傾向は今後ますます大きくなることが予想されます。日本としては本州単独の方が豊かさを享受できるわけで、九州不要論が出てきてもおかしくないと思います。国鉄分割民営化の際、本州のJR東日本・JR東海・JR西日本を生かすこととし、九州、四国、北海道の3島会社を分離した状況と似ています。

これではあまりにもみじめなので、九州は浮揚の道を探る必要があります。その場合、九州各県単独での政策ではどうしようもなく、九州が1つになって浮揚策を考える必要があります。そのため九州は早期に道州制に移行する必要があります。

九州浮揚策を考える場合、九州は地理的条件から東京や大阪を見ていてはいけないと思われます。むしろ地理的に近い釜山やソウル、上海、台北を見るべきでしょう。すでにそれらの地域の所得は、九州を上回っているように思いますし、技術的にも日本を上回っているものが出てきています。スマホを使った決済システムなどが良い例です。

明治維新においては、九州の薩摩、肥前が指導的役割を果たしましたが、これは長崎が海外技術や文化の受け入れ窓口となっており、場所的に近い薩摩や肥前はこれを積極的に導入し、軍や産業の近代化を進めたからです。今の状況はこのときに似てきたと思います。アジアでは東京が一番進んでいると思っていたところ、ソウルや上海、台北が進んでいるものが増えているのです。ここに近い九州は、これらを積極的に導入し、韓国、中国、台湾経済圏の技術や活力を取り込む必要がります。

これらにより九州は、独立国家としてもやっていけるような経済力を持つ地域になること目指すべきです。その際に具体的に目標とすべきは台湾だと思います。同じような島でありながら、台湾は1国として自転できる豊かな国となっています。九州は台湾に学び、台湾に追いつくことを目標とすべきです。