安倍首相は日本人の中央値
安倍首相は今年9月で2期6年務めたことになります。今後9月の自民党総裁選に出馬し、3選を目指すと言われています。そして自民党の状況を見ると、出馬したら当選する状況です。今年2月に森友問題で財務省が決裁文書を書き換えていたことが判明し、安倍首相や安倍首相夫人に対する財務省官僚の忖度があったと考えられ、安倍首相にも道義的責任があると考える国民が多くなり、一時は支持率と不支持率が逆転するという事態になり、もう安倍3選はないのではと思われました。しかし、その後6月までに、書き換えられた決裁文書を公表し、関係者を処分し、大阪地検も不起訴を決定したため、森友問題に一応のけじめがついた状況になりました。これは、法務省、検察と官邸が綿密に打ち合わせて作成した工程表に乗っ取ったものと思われます。それと並行して、トランプ大統領と北挑戦の金正恩とが会談することになり、トランプ大統領に日本人拉致問題を取り上げてもらうため、2度の会談を行うなど外交で「トランプとうまく付き合えるのは安倍首相しかないかな」という印象を作り出しました。同時に安倍首相は、国内では東北地震の被災地を訪れ、その後の大阪地震の際には地震発生の4日後に被災地を訪れるなど被災者に寄り添う姿勢を見せました。昨日(7月11日)には豪雨災害を被った岡山を訪れました。これらによって、今ではまた支持率が不支持率を上回ってきています。
それではなぜ安倍首相は6年もの間人気を維持してきたのでしょうか?
安倍首相の場合、森友問題とか加計問題とか国民が「エー」と言う問題が発生し、一時的に支持率が下がるのですが暫くすると回復するのです。これまでの多くの首相の場合、一旦下落した支持率は回復することはなかったのにです。それはなぜでしょうか?
自民党が政権に返り咲く前の民主党政権があまりにもひどく、また野党に政権を任せるのは嫌という気分があることも原因の1つではあります。また、民主党が分裂してしまって、政権を担える野党が存在しないという状況もあります。
しかし私は、国民が安倍首相は「大悪党」でなく「小悪党」であり、悪さをしても加計・森友問題くらいだと思っているからだと思います。加計が獣医学部を新設できたのは、加計理事長の親友である安倍首相の存在があったからです。安倍首相は、加計理事長とは獣医学部の件は一切話していないと言っていますが、それを信じている国民はいないと思います。森友問題では、自分だけでなく夫人も一切関係してないと言い切りましたが、夫人の影響があったことは明らかです。しかしこれらについて国民は、「可愛い嘘」「脇が甘いこと」くらいしか考えてないように思います。安倍首相は言うなれば「子悪党」であり、悪さをするとしてもこの程度であり、何が出てくるかわからない新首相よりも安倍首相でよいとなっているのです。
安倍首相には、「正解」がありません。あるのは、「何が国民の支持するところか」ということです。だから、「正解」をもって仕事をする秀才揃いの財務省や外務省の官僚とは馬があわないと思います。企業との付き合いが多く柔軟な経済産業省の官僚と馬が合うのです。
安倍首相は、今までの首相の中で、日本人の真ん中の有権者層(中央値)に一番近い首相だと思います。嘘も付くし、虚勢も張ります。そして偏に世の中の支持のみを拠り所としており、国民には低姿勢です。国民の多くは、そんな安倍首相に親近感を感じているように思います。
昔は福田、中曽根、宮沢などエリート中のエリートが早くから期待され首相になりましたが、民主主義では中央値の層の支持を得た人が首相になってきます。AKBの総選挙と同じです。安倍首相はまさにAKB総選挙と同じパターンでここまで来ているのです。