NHKネット配信でPC・スマホにも受信料

7月13日総務省の有識者検討会は、NHKの放送とネットの同時配信について「一定の妥当性がある」との報告書をまとめたとの報道がありました。これについて新聞各紙は、「民業圧迫の懸念がある」との論調です。しかし、NHKのネット配信問題の本質は、生活が圧迫される低所得者が更に増えることであり、民業圧迫ではありません。

NHK受信料は、見る見ないにかかわらず払えと言うものであり、その実体は公共放送負担金、即ち税金です。ならば所得に応じて負担すべきものなのです。それを契約と偽装し、所得に無関係に各世帯一律としていることから、高所得者には痛くも痒くもないけれど、低所得者には食費を削って支払う憎々しいものになっています。それでも払えないものは払えないわけで、不払い世帯が対象世帯の約20%、約900万世帯に上っています。不払いは不届き者で払わないのではなく、生活が苦しくて払えないというのが実体です。不払い世帯約20%という数字は、年収200万円未満の勤労者の割合約20%とほぼ符合します。年収200万円未満と言えば、所得税や住民税、健康保険や年金積立金を払ったら、使えるお金は150万円以下となります。この金額では厳しい節約生活をしないと生きていけません。当然食費も削るし、そのなるとNHK受信料月2230円が我慢ならない存在になるのです。

年収200万円未満の勤労者の半分は、住民税非課税世帯と思われます。住民税非課税ということは、健康で文化的な生活を行うに足りない所得水準であり、住民税は徴収できないと判断される世帯です。NHK受信料は、この世帯からも徴収しているのです。このうちの多くが払えない、即ち不払いになっているのです。

NHK受信料は、社会的生活を営む上で税金より重要なものでしょうか?食費を削っても支払わなければならないものでしょうか?低所得者には全く理解できないことです。不条理の極みです。

今回の報告により、総務省はNHKのネット解禁のため放送法の改正案を2019年度の通常国会に提出する予定とのことです。総務省は、NHKを守ることが使命と考えているようですが、本当の使命は国民の生活を守ること、即ち低生活者が生きていけるようにすることです。ネット配信が可能になれば、NHK受信料を払えないため受信設備を持たずネット情報で生活している人からも受信料を取るという動きになります。その結果、生活を圧迫される低所得者が更に増えますし、不払い世帯が増えます。ここが今回のNHKネット配信問題の肝です。それを新聞各紙は、系列の民放を守るため、民業圧迫と書き立てます。

総務省も新聞も、NHK受信料問題の本質を正面から見据えて、抜本的なNHK問題の解決に取り組むべきです。NHK問題の抜本的改革には、受信料を所得に応じた負担とすること、即ち公共放送負担金(税金)とすることとNHKを放送内容に応じ公共放送と民間放送に分割することしかありません。新聞が書き立てる民業圧迫ということは、NHKが民間放送と競合する内容の放送をしているということです。これを分離し、公共放送に限定した放送局にする必要がります。NHKは子会社で1100億円もの内部留保(受信料の振り替え)をため込んでいますから、実体は公共放送部門を持つ民間放送会社なのです。

総務省はNHKを守ることしか頭にありませんから、2019年度の放送法改正でも低所得者を苦しめる受信料制度はびくともしないでしょう。NHK受信料で苦しんでいる人たちおよびNHK受信料に不満を持っている人たち並びにこれからスマホやPCで受信料支払いを求められる人たちは、NHK制度見直しのための放送法改正に向けて多くの議員を国会に送り込むしかありません。不払い世帯が約900万世帯ということは有権者数では約1,300万人程度います(1世帯1.5人として計算)。それに不満を持っている人およびスマホ・PCでの受信料支払を心配する人を入れると約2,000万票が獲得可能です。そうすれば衆議院比例区で100人の国会議員を誕生させられます。同時に小選挙区でも同志の議員を増やすことができます。すでに地方議会では続々とNHK受信料問題の解決を掲げる政党の議員が誕生しています。NHK受信料問題の解決は、日本の不条理な社会制度を変える突破口になります。近い将来必ず実現させましょう。