司法試験の受験回数制限おかしくないか?

東京医大の入試問題では、男子の合格者を増やすために、2次試験で現役および1浪・2浪の男子には20点加点、3浪の男子には10点加点、4浪の男子には加点なしとし、女子は一律20点減点としていました。男子の合格者を増やすことについては、男子の方が医療現場のニーズに合うというということですから、医学部の判断で問題ないと思われます。ただし、募集要項に男子および女子枠を公表しておくべきでしたし、減点および加点による調整は好ましくないと思います。男女の枠内で、志望動機や適性検査、チーム医療ができるかどうか、体力などに基づき、合否を決定すべきであったと思います。

多浪を不利に扱うことについては、問題ないと考えます。東京医大が多浪を合格させたくない理由は、留年が多いこと、医師国家試験の合格率が悪いことということでした。しかし、もっと重要な理由から多浪の人の合格は望ましくないと思います。それは、現役が1回で理解できることを多浪の人は、複数回繰り返さないと理解できないと言うことであり、命を預かる医師の仕事には向かないと思われます。医師が一人前になるためには、判断・治療ミスにより何人かが犠牲になると言いますが、現役で合格した者と比べ多浪の人が判断・治療ミスが多いと思われ、その分犠牲者も増えると思われます。従って、医学部に入試については、受験回数の制限があって然るべきだと思われます。

そこで考えさせられたのが司法試験の受験回数の制限です。司法試験では受験回数を5回までに制限しています。理由ははっきりしませんが、人生を棒に振らないため、受験回数の制限を設けて強制的に諦めさせたのかな、と想像します。それと6回以上で合格する程度の理解力では、現実の業務で対処できないと考えたのかも知れません。

しかし、これは法律で受験回数を制限するのが妥当なのでしょうか?他の資格試験においては、資格を付与するレベルに達しているかを判断し、そのレベルに達していれば全員に資格を付与しています。年齢や受験回数に制限を加えているものはないと思います。弁護士に近い資格である公認会計士、税理士でも然りです。司法試験受験者は試験勉強を始めるとずっと続ける人が多数います。受験制限がなかったころは、合格者の平均年齢が28歳くらいでしたから、10年以上勉強を続けている人もいたと思います。これは家族や周囲の協力がなければできることではなく、司法試験に合格することは本人ばかりでなく家族や周囲の夢になっています。この夢を受験回数を決めて奪ってしまうことが果たしてよいことでしょうか?また何回も受けて合格しても現実の業務に対処できないということも考えれますが、これは公認会計士や税理士も同じです。公認会計士、税理士の資格を取得してもそれを職業に出来ていない人も多数います。そうなら本人もあきらめがつくと思います。

こう考えると、司法試験も他の資格試験と同様受験回数を制限せずに、合格ラインに達したら資格を与えて、職業弁護士としてやっていけるかどうかは別問題とすべきではないでしょうか?