いつまで続ける?総務省と携帯電話3社の指導監督お芝居

総務省は8月28日、「モバイルサービスの提供・端末に関する指針」として、中古携帯・スマートフォン端末(以下中古端末)についても、購入者が3社にSIMロック解除を要求したら、解除手続きに応じなければならならないとガイドラインを改めたと発表しました。

これまで携帯電話3社は、中古端末についてはSIMロック解除に応じていなかったのです。

この場合、次のような問題がありました。

1つ目は、SIMロックがかかったままの中古端末を購入すると、使える通信会社がSIMロックをかけた携帯電話会社に限られるため、中古端末の利用が進まない。結果、携帯電話サービス加入時に加入する携帯サービス会社から新品端末も抱き合わせで購入する。

2つ目は、中古端末のSIMによって契約する通信会社が決まり、通信会社の乗り換えができず、通信会社間の競争が働かない。

ということです。

携帯電話3社の狙いは、これにより自社のユーザーが他社に流れるのを防止し、料金を高値に維持することであることは明確です。これらにより、携帯電話3社は、2018年3月期決算で、売上高約13兆円、営業利益約2兆6000億円、営業利益率約20%という儲け過ぎと言われる利益水準となっているのです。同じ公益企業である電力9社の同期の決算である売上高約19兆円、営業利益約9800億円、営業利益率約5%と比較すれば、携帯電話3社の利益が異常であることは明確です。その結果、毎年支払いが増える携帯電話料金で家計が圧迫され、家計は食費や衣料費、新聞代などを減らして対処しています。それが最近の消費不振の原因になっています。

従って、これは本来もっと早く行われなければならなかったのです。総務省は、菅官房長官の「携帯電話3社は儲け過ぎ。料金は、4割は下げられる」という発言に押されて、何かせざるをえなくなり、やっと重い腰をあげたものと思われます。それでも総務省は、携帯電話3社の利益を守るため、この実施時期を2019年9月1日からとしています。理由として、SIMロック解除を行うためにシステム整備、ユーザーへの告知・説明のための準備期間として1年間の猶予が必要なためと言っていますが、これはひとえに携帯電話3社が今のままやれる期間を長くとったものです。ユーザーへの告知・説明のための準備期間とは一体なんでしょうか?ユーザーのためには即時実施こそ有益です。

総務省は、同時に「電気通信事業者法の消費者保護ルールに関するガイドライン」も改正し、「4年縛り」での端末販売の際に、契約者に対し、同じプランへの再加入などの条件、自動更新の条件、解約費用などを分かりやすく説明することを義務づけたということです。しかし、これは全く実効性のないものです。なぜならば、「4年縛り」契約が問題なのは、契約条件を知らないからではなく、この契約を1度結べば実質的に永遠に同じ携帯電話会社と契約し続け、かつ4年ごとに新しい端末を買わされるはめになることです。「4年縛り」契約には、契約者が他社に乗り換えることを事実上不可能にする、4年ごとに新規端末を買わせる、それらにより通信料金を高止まりさせる、という3つの狙いがあります。従って、総務省がこの「4年縛り」契約を問題視するなら、「4年縛り」契約を止めさせなければならないのです。それは民間企業の契約への介入になるからできない、というのは通りません。携帯電話3社のある首脳は「私たちは総務省が決めたルールに従って事業をやっているだけ」と述べていますから、「4年縛り」契約も総務省が決めたルール内ということになります。だから、止めろと言えば、携帯電話3社は従います。

総務省がこれだけ携帯電話3社の利益を図る動機は、通信行政担当の幹部には退官後携帯電話3社から見返りがあるからです。退職幹部は、この高収益システムを作り維持してくれた見返りとして、携帯電話3社やその関連企業、携帯電話3社の取引企業に三顧の礼をもって迎え入れられます。事実通信行政の中枢を歩いた元総務省幹部は、携帯電話3社から巨額の資金が流れ込む会社の幹部に天下りました。そしてその元幹部の息子までその天下り企業に入社しています。この構図は、便宜を図った見返りに東京医大に息子を入学させた元文部省の幹部の例とそっくりです。違いは、文部省の元幹部は在職中に見返り(息子の入学)を受け、総務省の元幹部は退職後に見返り(自身の天下りと息子の入社)を受けていることです。これに、この秋上場予定の通信会社IPO株の割当があれば、事後贈収賄は明確です。

この仕組みがある限り、総務省の携帯電話3社保護の姿勢は変わらないと思われます。従って、電気通信行政は、総務省から分離し、電気・ガス業界と同じ経済産業省に移管すべきだと思います