パワハラ批判、損をするのは若者
最近パワハラが問題になっています。女子レスリング問題で強化本部長のパワハラが第三者委員会で認定されて、処分されたことから、地位の低い者でもパワハラを訴えれば地位の高い者をやっつけられるという風潮がでてきたように思います。現在テレビなどをにぎわしている女子体操選手の問題も、パワハラという言葉だけが取り上げられ、実質的な内容は十分吟味されていません。パワハラを主張した選手の話を聞く限り、主張は弁護士が作り上げた抗争戦略のような感じがします。第三者委員会は、中身をよく吟味し、選手=弱い立場、強化本部長=強い立ち場、だから選手がパワハラと感じたらパワハラがあった、と安易に認定しないことが重要だと思います。
これまで日本の企業では、高校や大学を卒業しただけで仕事の技術は何も身についていない若者を入社させ、職場で先輩の指導のもと仕事の技術を身に着けさせ、一人前に育ててきました。その際、先輩は自分の仕事の量はそのままで、新人の教育負担が乗っかるわけですから、大変です。それにこの新人教育は、教育手当が支給されるわけではなく、無償奉仕のことが多いのです。高校や大学は同世代の集団であり、一方会社は幅広い世代で構成されており、口の利き方や接し方の教育も必要です。こういうこともあって、時には怒鳴る場合も出てきます。そういう場合、相手が反省する場合もあり、怒鳴った本人が反省する場合もあります。怒鳴った本人が反省した場合、帰りに飲みに誘ったりして修復をはかります。そういうことを繰り返し、教える方と教えられる方の信頼関係が築かれていき、教育は効果を上げていきます。部下が先輩や上司の言葉や行動をパワハラであると主張する事例が今後増えていくと予想されますが、これを安易に認めていたら、先輩や上司は教育などやらなくなります。その結果、就職するには専門学校で仕事の技術を身につけておくか、身に着けずに入社した場合、職場で必要な仕事の技術を身に着けられるか、身に着けられないかは本人の能力と努力次第となり、身に付けられない若者が多数出てきます。そして、身に付けられない若者は辞めるしかなくなります。今の現役会社員の多くは、新人の頃先輩にしごかれた経験があると思います。そして会社で成功している人たちは、しごいてくれた先輩に感謝していると思います。今の安易なパワハラ主張は、今まで行われてきたこういう脱落防止制度を崩壊させると思われます。丁度、米国のメジャーリーグのように、大量に入団させ、そのうち勝手に伸びた者だけが生き残っていく制度となります。
女子レスリングの問題もそんなに悪質なパワハラではありませんでしたし、今回の女子体操選手のパワハラ主張は、パワハラという言葉を用いているにすぎないようない感じがします。組織では上司が部下に対して強い権限をもたないと、組織の目的は達成できません。パワハラ主張を幅広く認めたら、組織は崩壊しますし、豊富な技術やノウハウを持った先輩が若者を指導することもなくなり、損をするのは若者です。