携帯電話の「縛り」契約は奴隷契約、根絶すべし

携帯電話会社の儲け過ぎが問題になっています。携帯電話3社の2018年3月期決算は、売上高約13兆円、営業利益約2兆6000億円、営業利益率は約20%ですから、当然です。同じ公益企業である電力9社の同期の決算は、売上高約19兆円、営業利益約9800億円、営業利益率約5%ですから、携帯電話3社の儲け過ぎは明らかです。私たちがこれまで考えてきた公益企業の決算は、電力会社の数字であり、携帯電話3社の数字は公益企業のものとは思えません。携帯電話3社は、携帯電波回線の割当が3社に限られていることを利用し、国民から無制限に収奪するシステムを構築したのです。そして、監督官庁である総務省がそれを後押ししたのです。

制度面でこれを可能としたのが2年縛りおよび4年縛りと言われる契約形態です。期限の定めのない契約の料金を高く設定して2年契約の料金を安く見せかけて、2年契約に誘導し、途中解約には高額の違約金を設定し、お金の面および意識面で解約できないように仕向けたのです。そして3社が同じ内容の契約を導入することによって、実質的に他社への乗り換えができず、3社が高収益を享受できるにしています。業界3位のソフトバンクの国内通信部門の2018年3月期の営業利益が6800億円というのですから、こんなおいしい業界は他にありません。ソフトバンクは、アメリカで携帯電話3位のスプリントを買収しましたが、スプリントはその後4位に転落し、やっと黒字の状況です。これが普通だと思います。日本の3社が共に巨額の利益を得る状態は明らかに競争が働いていないことの証拠です。従って、本来こういう状況を排除するのが使命であるとこころの公正取引委員会にも大きな責任があります。

ソフトバンクは海外で巨額のM&Aや投資を行っていますが、その原資はこの国内の携帯電話事業の利益です。家計から吸い上げられたお金が海外に消えているのです。この仕組みが分かれば、ソフトバンクを誉め散らすことが如何に間違っているか分かると思います。

この秋ソフトバンクは国内通信会社を上場させると言う報道です。これは、携帯電話事業が今後これまでのようなボロ儲けの状態では行かないことを見越し、資金化を急いだと思われます。来年からは楽天の新規参入も予定されています。しかし、楽天の参入は、携帯電話料金の大幅な値下がりをもたらさないと思われます。それは、楽天モバイルが参入決定後3年縛り契約を拡販していることを見れば明らかです。2年縛りや4年縛り契約が携帯電話3社の高収益を契約面で支えているのを見て、4匹目の泥鰌を狙ったものと思われます。即ち楽天の携帯電話参入の目的は、携帯電話3社の高収益を見て、この仲間に入れてもらうことにあったのです。だから、楽天参入後は、4社談合体制になるだけで、料金引き下げ効果はほとんどないと考えれます。期待して損した感じです。

いずれにしても、携帯電話3社の儲け過ぎを契約面で支えるのは、2年および4年の縛り契約であり、これは特に日本人の契約順守意識の強さを利用したもので、悪質です。これらの「縛り」契約は、利用者を携帯電話会社の奴隷にすることを狙ったものであり、根絶すべきです。