ビール離れはアルコール離れ

最近のオリコンの記事にビール会社が若者のビール離れを防ぐために、いろいろ味覚の違うビールを売り出しているとの記事がありました。

これは今年の四月から酒税法が改正になり、ビールの原料の定義が変わったことが原因だそうです。従来のビールの定義は、麦芽比率67%以上、その他の副原料としてはコメ、小麦、トウモロコシなどしか使えなかったのを、麦芽比率50%以上、その他の副原料としてフルーツやハーブ、スパイスなどが使えるようになったため、ということです。

その結果、塩・胡椒入りのビールやオレンジピールという果実の皮を入れたビールなどが発売され、従来の苦いビールのイメージを変えて、消費を拡大しようとしているということです。

しかし、これは若者のビール離れの根本的原因を捉えた対応ではなく、解決策にはならないと思います。現在若者がビールを飲まなくなっているのは、ビールにアルコールが入っているからです。例えば水ならそんなに大量に飲めないのにビールなら飲めるのは、ビールにアルコールが入っているからです。即ち、アルコールが脳の正常な判断力を失くさせ、大量に飲めるようにしているのです。これは、職場の飲み会など素の自分では対応できない状況では有益です。ビールを飲めば素の自分とは違う職場用の自分になれるからです。

しかし、若者は、できるだけ素の自分でいたいから、先ず素の自分では務まらない会合や場所には努めて行かないようにします。そして、素の自分でよい会合や場所を選んで行きます。そういう場所では、ビールを飲んで素の自分と違う別の自分に変わる必要はなく、心地よいのです。若者の間でこういう傾向が増えている結果、ビールを飲まなくなっているのです。それは、多かれ少なかれ年長者にも出てきていると思います。この世代は、ビールをたらふく飲むことが大人の特権と思ってきた人たちです。でもたらふくビールを飲むことに少し違和感を持ち続けてきた人たちでもあります。それが若者のビール離れを見て、「あ、ビールはそんなに飲まなくてもいいんだ」と気が付き始めているように思います。

従って、今後は老若男女ともビール離れが続くと思われます。ビール離れというより、アルコール全般離れと言えると思います。これは人間がその本来の欲求に正直であろうとすれば当然起きる現象であり、止められないと思います。