京大吉田寮、古き良き時代の歴史遺産
京大吉田寮生が大学から建て替えのため退去を求められ、これに反対する寮自治会と揉めているという報道がありました。京大吉田寮と言えば北大恵迪寮と並ぶ歴史的な大学寮です。私も寮生活を経験しましたが、50歳以上の国立大学卒業者で寮生活経験者なら、憧れの大学寮でした。このニュースを見たときには、「エッ、まだあったの?」と思いました。京大も北大も学生はスマートなのですが、吉田寮と恵迪寮の住人には変人が多い印象があります。下宿やアパートだと実社会と繋がっており、どうしても社会常識が求められますが、大学の寮は、大学の自治の領域にあり、実社会から保護・隔離されたところがります。この中にいれば、衣食住は完結しますし、周りの社会人とトラブルになることもありません。同じ世代の住人で、同じような学力レベルで、かつ生活費を稼がなければならない切迫感もなく、ある意味ユートピアのようなところと言えます。そこは、建物は古いし、部屋は汚いし、住人は貧乏人が多いのですが、不思議と何の劣等感も感じません。この生活がずっと続けばいいなという感じです。
それがこの9月末まで出ていけと言われているわけですから、寮委員など一部の寮関係者は日々この問題で頭が一杯だと思います。しかし、その他の多くの寮生は、就職準備や新しい下宿探しに勤しんでいると思います。大学側と団交しようにも人が集まらないと思います。この様に、マスコミの報道から感じることと実体は大いに違うと思われます。
吉田寮は1913年築とあり、写真を見る限り老朽化が著しく、確かに耐震的には誰が見ても維持不可能と判断するでしょう。あとは歴史遺産として耐震補強して保存するか否かの問題です。かなり厳しいのではないでしょうか・・・。