NHK制度はもう破綻している!
NHKは9月27日、総務省の有識者会議で、2020年度末までに受信料値下げについて結論を出すと報告したという報道がありました。これは、今後3年間は値下げしないという意思表示です。NHKは自分が置かれた今の状況が分かっていないようです。NHKにはそんな悠長なことを言っている時間はありません。
それは、NHK制度はどう繕っても破綻しており、抜本的改革は不可避だからです。その理由を説明します。
NHKの発表によると、2017年度の受信料収入は6,914億円となっています。現在の推計世帯支払い率は78.2%となっています(2016年度末データによる)。これは、総世帯数5,449万世帯、うち免除やテレビ受信機がない世帯を除いた受信契約対象世帯数が4,621万世帯で、契約世帯数が3,612万世帯であり、3,612÷4,621×100=78.2(%)としています。この結果から21.8%、1,009万世帯が契約していないことが分かります。
一見なるほどと納得しそうですが、3,612万世帯と契約しているとすると、受信料収入は、3,612(万世帯)×2,230(円/月)×12(月)=9,665億円となります。これが実際は6,914億円ですから、その割合は6,914÷9,665×100=71.5(%)です。これは、契約した世帯のうち、契約通り支払っている世帯は71.5%、2,583万世帯と言うことになります。28.5%、1,029万世帯は契約通り支払っていない(回収できていない)ということです。ということは受信契約対象世帯4,621万世帯のうち、契約して、契約通りに受信料を払っている世帯は、2,583÷4,621×100=55.8(%)です。
これは即ち44.2%、2,038万世帯が契約していないか、契約しても契約通りに受信料を払っていないということであり、これはNHK制度に無理がある=NHK制度は破綻している、ことを表しています。。
無理の第一は、月2,230円の受信料は低所得世帯にとっては重すぎることです。年間所得200万円未満の世帯が約20%ある中で、所得に無関係に同額の受信料を負担させるということに無理があります。年間所得200万円未満なら、真っ先に節約の対象になるのがNHK受信料です。この所得では、払わないのではなく、払えないのです。
無理の第二は、見る見ないにも関わらず受信契約を結ばされることです。契約は当事者の意思の合致で成立するという大原則がありながら、これを踏みにじっています。個人の尊厳を犯すこのやり方を決して許さない人は多いということです。見る見ないに関わらず受信料を払えと言うのは、受信料は実質的にはNHK負担金、即ち税金ということです。ならば、所得に応じた負担とするべきなのです。
無理の第三は、公共放送と言いながら、放送の大部分は民間放送と何ら変わらないものであり、納得性がないということです。これはNHKが戦後の設立当初民間放送の役割も担っており、本来なら民間放送が育ったら、民間放送部分は止め、本来の公共放送の範囲に縮減すべきだったのに、これを行わなかったことによるものです。NHKの放送のうち公共放送と言えるものは全体の2割程度で、残りの8割は民間放送の内容です。即ち、NHKは公共放送部門を持つ巨大な民間放送局と言うのが実体です。
こういった無理を国民に押し付けているのがNHK制度です。常識ある国民なら、これがもう成り立たなくなっていることは直ぐ分かります。従って、ネット配信と引き換えに受信料を下げろというのは、弥縫策であり、総務省のNHKに対する助け舟です。それに気付かず、受信料引き下げの結論を先延ばしにしようとするNHKは、絶滅に向かうマンモスのようです。
少なくとも受信対象世帯4,621万世帯の44.2%(2,042万世帯)は、NHK制度に不満を持っているということであり、この中で日々受信契約の締結や受信料支払いの督促を受けていることになります。この状態は、放送法を改正しない限り終わりません。放送法を改正するためには、放送法改正を目指す人を国会にたくさん送り込むしかありません。2,042世帯ということは、有権者数としては約3,000万人(1世帯1.5人)になります。約3,000万人が総選挙の比例区に於いて放送法改正を主張する政党(例えば「NHKから国民を守る党」)に投票すれば、150人近くの国会議員を誕生させられます。
「NHKから国民を守る党」は、既に地方議会選挙で続々と当選者を出しており、その存在を高めています。そして、来年の参議院選挙で国政に旋風を巻き起こすでしょう。そしてその次の総選挙では、郵政民営化に匹敵する旋風を起こすことになります。真っ先に影響を受けるのは、今後参議院の総務委員会で放送法の審議に加わる議員です。
NHKや国会議員の皆さんは、このことが分かっているのでしょうか。