大学の合格基準は「社会に出て活躍できる人物かどうか」

最近、私立大学を中心に大学の合格基準が変わってきているようです。入試によって学力の高い者を合格させるやり方から、社会で活躍できそうな人物を合格させるやり方になっています。例えば、私大の雄慶応大学を見ると、入学者のうち4割は系列高校からの進学者で、2割くらいは指定校推薦や自己推薦により合格した者のようです。即ち一般入試で高得点をとって入学した者は半数を切っていると思われます。多分系列校からの進学者のうち、一般入試で合格できる者は3割以下ではないでしょうか?幼稚舎、付属中学・高校に入学したら、大学までの進学が保証されるのですから、入試勉強などしないから当たり前です。従って、そのような内部進学の慶応卒業者には学力に疑問符が付く者がいるのも事実です。しかし、企業に於ける慶応大学の卒業者に対する評価は高まるばかりです。それは、慶応卒業者は、企業が求める常識が備わり、企業社会で求められる立ち居振る舞いが身についている者が多いからです。それは何故かというと、慶応の幼稚舎や付属中学・高校入学者は、企業経営者や大企業幹部、自営業の成功者の子弟が多く、成功した親の考え方や立ち居振る舞いを身につけているからです。従って、多くの大学卒業者が入社して企業生活に戸惑うのに対して、慶応卒業者はすんなり溶け込んでいる者が多いのです。そして、それがその後の活躍にも繋がります。

慶応大学としては、卒業後企業で活躍できる人を入学させれば、大学の評価が高まることになります。従って、合格させたいのはこのような人となります。そうなると、学力を見るだけで、企業での活躍とは必ずして結びつかない一般入試は、必ずしも良い選抜方法ではありません。ある一定の学力水準を超えた候補者の中から、企業人事の目で候補者を選抜することになります。それが学校推薦や自己推薦による合格者が増える理由です。この方法によれば、オリンピック候補者や高校記録保持者などそもそも既に活躍している人は、即合格です。また、その他のコンテストなどで上位に入った人も合格させることになります。卒業後活躍する可能性が高いからです。

こうして内部進学者と学校推薦、自己推薦などでの合格者数を増やしていくと、一般入試の合格者の割合は減っていきます。そうなると一般入試の難易度が上昇し、難関大学という評価が出来上がります。学力評価は一般入試者が引き上げ、企業での評価は内部進学者や推薦入学者が引き上げ、大学の総合評価が上がっていくのです。

このように、私立大学の入試は、既に大学という法人の評価を引き上げてくれる人の採用試験化しています。国立大学もAO入試や推薦入試を増やしており、実体は同じ傾向にあると思います。今後大学進学者数は減少していく予定であり、大学が生き残りをかけ、大学の評価を高めてくれる学生狩りを進めると予想されます。これからは、学生も中途半端な学力より、社会で使える一芸を磨く時代だと思われます。