就活ルールを望む学生は、企業が求める人財ではない

経団連が就活ルール(協定)の廃止を正式に決定したとのことです。当たり前のことだと思います。そもそも就活ルールには合理性がありません。企業は激しい競争をしているのに、新卒学生の採用に関しては、各社一斉に開始しましょうね、というのはどう考えてもおかしいです。だから、合理的な考え方をする企業は、この協定に参加しませんでした。その結果、協定に参加しない企業に良い学生を持って行かれた結果がこの廃止です。それに、就活ルールの下では、採用に至る時間が短すぎて、企業として自社の業務に適した学生か評価できません。単なる数合わせになってしまいます。これは寄らば大樹型の企業人事部にとっては、採用予定人数さえ満たせば個別の質は問われないため、楽です。これが日本の企業の競争力を弱めているのです。

新たな就活ルールは不要です。大学入学イコール就職活動の開始です。従って、高校時代から就職についてよく考えて大学を選ぶ必要が出てきます。そして大学に入ったら、夏休みや春休みに就職を考えている企業にアルバイトやインターンを申し込むなどして情報収集します。企業にとって、夏は比較的暇な為、こういう学生を試す時間はあると思います。それを2~3年続けるとお互いに相性が分かります。そうやって入社した企業、採用した学生こそお互いにとってベストな就職先であり、人財です。

入学開始イコール就活だと言っても、基本大学卒業後に就職するわけで、企業の実際の採用候補は大学3年生および4年生になります。企業の人事部は、年間を通じ時間を割り振りし採用候補の学生と面談を繰り返すこととなります。そして、人事部が採用を決めると言うより、採用候補者が配属を希望する部署が採用を決めるようになると思われます。部署に向いているかどうか、部署が採用したいかどうか、が採用を左右することとなります。この方が配属後の適否まで評価できるので、採用の妥当性が高まります。

新聞などの調査によると、学生の7割は、就活ルールは必要と答えたということです。ずばり、この7割の学生は企業が求めている人財ではありません。多くの学生が入社を希望する優良企業は、ルールに唯々諾々と従う学生は求めていません。ルールがない方がいい、創意工夫の余地が大きい方がよい、と考える学生を求めています。学生のうち、企業に入って活躍できるのは3割程度であり、就活ルールは不要と考える学生の割合と同じです。即ち、就活ルールは不要と考える学生こそ、企業が求めている学生なのです。

今後は政府と大学でどういうルールが必要か協議すると言うことですが、止めた方がよいと思います。もう就活ルールという鎖から全部の企業が解き放たれました。今後は本当に役に立つ人財狩りが始まります。この結果、学生の5割は3年終了時までに就職が決まるでしょうし、2割は就職浪人することになるかも知れません。就職浪人の2割は、自分が行きたい企業に就職できなかったため再度挑戦する人たちと、そもそも企業に向いていない人たちです。人間大体そんなもんです。

就活ルールがなくなると学生が落ち着いて勉強する時間が無くなると心配する声がありますが、それは杞憂だと思います。むしろ、早くから企業と接触することによって、何をどれくらい勉強しないといけないかが分かり、勉強に実が入ると思われます。それに就職が決まってからの勉強がこれまでと違ってハードなものとなると思います。従って、大学での勉強の質は上がるはずです。むしろ遊ぶ時間がなくなると思われます。もうそういう時代です。