携帯電話3社はかってのサラ金と同じ

携帯電話料金の値下げへの関心が高まっています。それは携帯電話3社の儲け過ぎへの反発でもあります。この9月中間期決算を見ても、ソフトバンク(国内通信部門)やKDDIは昨年を上回る利益を上げ、営業利益率は20%を超えています。同じ公益事業である電力やガス会社の営業利益率は5%程度なので、携帯電話3社の利益率が異常に高いことが分かります。これまで世の中になかったことを事業化しているのなら分かりますが、国民の電波を使ってこれだけの利益を上げるのは納得できません。

携帯電話3社のうち、NTTドコモは、菅官房長官の「携帯電話料金は4割は下げられる」発言を受け、来年25~40%の料金値下げを行うと発表しましたが、ソフトバンクとKDDIは既に実施済みであるとして、今後値下げを行うつもりはないと言っています。

携帯電話3社の言い分としては、「我々は民間企業であり、料金は自由に設定できる。政府にとやかく言われる筋合いはない。」と言うことだと思います。しかし、そうでしょうか?携帯電話3社が料金を取っているのは、家計です。携帯電話3社の儲け過ぎは、家計の困窮と裏返しなのです。特に、家計はバブル崩壊後所得が減り続ける中で、節約に節約を重ねてきました。食費,衣料費や新聞代などを削ったため、スーパーや小売店の売上や新聞の購読部数は減り続けています。その中で携帯電話3社は、家計から約13兆円(2018年3月期)も巻き上げているのです。これが許されることでしょうか?そのやり方もいわゆるグレーなやり方です。2年縛りや4年縛りという奴隷を想起させる契約を使い、一度契約したら他社への乗り換えは殆ど不可能としています。これを3社がほぼ共通に用い、3社のシェアを維持しようとしています。これは、独占禁止法の競争制限行為に該当する可能性が高いグレーな行為です。これを摘発できない公正取引委員会にも問題があるのですが、違法ではないとしてやり続ける携帯電話3社に一番問題があります。

この態度を見ていると、携帯電話3社は、かってのサラ金と重なります。かって、主としてサラリーマンに対して高利で融資する消費者金融会社(サラ金)がありました。サラ金の利息は最高29%と高利でした。融資の利息については、利息制限法上、最高金利は20%に制限されていたのですが、貸主と借主の間でこれを超える金利を設定した契約を結び、借主が利息を払っていれば有効とされていました。一方貸主には、別に出資法と言う法律があり、こちらでは貸出金利は最高29.2%とされていて、これに違反した場合は刑事罰が科されました。刑事罰が科されれば実質的に営業できなくなりますので、貸主としては、出資法は守らなければならないことになります。そこで貸主であるサラ金は、最高29%の金利で貸し出しました。出資法はクリアし、利息制限法違反だけど当事者間では有効だったからです。しかし2006年になって、最高裁は、利息制限法の制限を超える金利を設定した貸付は、制限を超える部分に付いては無効という判決を出したのです。その結果、サラ金は、それまでに制限を超えて受け取った利息について、借主から請求があれば返還しなければならなくなりました。これが今も続く過払い金返還問題で、これにより多くのサラ金が倒産しました。この最高裁判決を受けて出資法上の上限金利も利息制限法と同じ20%に改正され、いわゆるグレーゾーン金利はなくなりました。ここから得られる教訓は、グレーゾーンで企業活動を行っていれば、必ず法律で禁止されるということです。

これに照らして携帯電話3社を見ると、2年縛りや4年縛りという契約形態は独占禁止法違反の可能性があると指摘されていますし、携帯電話業界は3社寡占であり、競争が働かない状態にあると言われており、グレーゾーンで事業を行っていることになります。

こういう中で、菅官房長が携帯電話料金の値下げなどの是正を求めても、ソフトバンクやKDDIは応じません。ならば、サラ金の場合のように、法律を制定して解決するしかないと思われます。次の3つのことを法律で定めれば、本問題は解決します

  1. 携帯電話通信回線を電力の送電線のように別会社に分離し、この回線はコスト+適正利益で通信サービスを行う会社が同じ条件で使えるようする。国有化も考えられる。
  2. 縛り契約は禁止し、使用期間が長期になればなるほど魅力的な料金となるような契約とする。(そうすればユーザーは解約しない。)
  3. 加入や解約などの手数料続きをネットでできようにして、代理店網を縮小する。(代理店は高コスト要因であり、乗り換えを難しくしている。)