福岡市の水は確かにおいしくなった

11月18日の日経電子版に福岡市は節水日本一との記事が出ていました。1日1人当たりの水の使用量が199リットルと日本一少ないそうです。この原因は、1978年に大渇水を経験しており、水道事業者も節水技術を高め、市民の節水意識も高いからということです。

私も1978年の渇水は経験しました。給水制限で1日数時間しか水が出ないのです。みんな水が出る間にバケツに水を汲んで対応していました。その中で水洗トイレを十分流せず臭かったのを覚えています。銭湯も営業時間が短縮されていたのではないでしょうか。これまでの人生であのときくらい水の有難さを感じたことはありません。

その後東京の企業に就職し、横浜に住んだのですが、そこまで先ずびっくりしたのが水のおいしさでした。冷たくて塩素臭さがないのです。福岡の水は、冷たさは感じず、かなり塩素臭がありました。従って、水道水を直接飲むことはせず、沸かして塩素を飛ばした水を飲んでいました。塩素臭さもよく消毒されているからだろうと良い方に解釈していましたが、横浜の水を飲んで、水道水の見方ががらりと変わりました。私が住んでいた地区の水道水は、丹沢水系の水で、横浜でも特別水質がよかったのかも知れません。その後東京都内に住みましたが、塩素臭はしないし、濁りなどもなく、不満のないレベルでしたが、横浜ほど冷たい水ではありませんでした。東京都は、東京の水は日本一おいしい水だと言い、ペットボトルに入れて販売していましたが、わざわざ買うほどおいしいとは思いませんでした。

旅行で行った先も含めて考えると、富山のホテルで飲んだ水が一番おいしかったです。通常ホテルの水は飲まないのですが、そのホテル(一般的なビジネスホテル)の水は、水に触れた瞬間に新鮮な谷川水に触れたような冷たさがあり、飲みたくなるような水でした。北アルプスの雪解け水が来ているなと感じさせる水です。その経験から、水道水のおいしさなら富山という印象があります。

6年前に再び福岡市に住むことになり、一番最初に感じたのが水道水が冷たく、塩素臭がしなくなっていることでした。横浜の水道水の感じに近いものでした。ここが室見川の近くであり、室見川水系の水を使っているのかも知れません。このことと節水日本一の記事を読んで、福岡市の水への取り組みは日本有数のレベルにあると感じます。これも1978年の渇水経験に基づくものとすれば、それを経験した人が減少するにつれ風化する可能性もあります。

現在水道民営化法案が国会で審議されており、可決成立する見込みのようですが、人口減少で公営で成り立たないからと言って、民営にしても成り立つわけがありません。民営化されたら、値上げか倒産かの選択を迫られ、どんどん値上げされる結果になります。その結果、その自治体には住めないということになります。水道民営化が都市への人口集中を加速します。そういう意味で、水道事業を成功させることは、町の繁栄の基盤となります。福岡市は、その意味でも今後とも発展する都市です。