ポイント5%還元策、期間終了後深刻な消費落ち込みを招く

報道によると、政府は、2019年10月からの消費税引上げによる消費落込みを小さくするため、クレジットカードなどによるキャッシュレス決済の場合、購入金額の5%をポイント還元する計画とのことです。

これは、ポイント還元期間終了後に大きくて長い消費落ち込みを招くと思われます。

というのは、消費税が2%上がれば、家計にとってはこれまでの支出が2%増えるわけだから、当然2%分買い物を控えます。5%ポイント還元すると言っても、支出額が2%増えることは間違いないので、これまでより支出額を増やすことはありません。これまで現金で買っていたものをカード決済に変えるだけです。従って、5%ポイント還元策にしても、消費は落ちるのです。しかし、買い替え時期が来ている家電製品などの耐久商品や買いだめが効く物は、ポイント還元期間に前倒しで購入する動きが出ると思われます。これはポイント還元策が終了する3か月前辺りから顕著になるのではないでしょうか。従って、この3か月間くらいは、家電販売店やドラッグストアなどは、売上が消費税引上げ前を上回るところも出て来て、全体的には消費の落ち込みを防げたということになるかも知れません。

しかし、問題は、ポイント還元策終了後です。この前倒し購入の反動と5%ポイント還元策がなくなった心理的な影響で、消費が大きく落ち込むことになります。そしてこれは、相当長く続くことになります。

このように5%ポイント還元策は、期間終了後、効果以上の副作用を持たらすこと必定です。消費税引上げによる消費落ち込みを防ぐには、家計の現金を増やすしかありません。その方法としては、賃上げによる収入増がありますが、企業としては、消費税引き上げによる減収減益を予想しますので、最近のような賃上げは期待できないと思われます。ならば、家計の固定支出を減らしてあげることが考えられます。その候補の1つが携帯電話料金の引き下げです。携帯電話3社は営業利益率約20%から分かるように家計から巨額のお金を奪っています。電力会社9社の営業利益は約5%ですから、これは明白です。菅官房長官がこのことを指摘し、4割の値下げを求めた結果、NTTドコモが4000億円程度の値下げを表明しました。KDDIとソフトバンクは拒否していますが、対抗上値下げに追い込まれると思います。問題は、値下げで家計に還元する金額です。3社がNTTドコモ並みに引き下げたとして、約1兆円の負担減にしかなりません。携帯電話3社が家計から吸い上げているお金は、年間約13兆円(売上に相当)ですから、4割の値下げなら約5兆円(13兆円×0.4=5.2兆円)の負担減が必用です。これで携帯電話3社の売上は約8兆円程度となり、営業利益4000億円、営業利益率5%と電力9社並みとなります。実際は、料金が下がれば通信量が増えますから、売上高は10兆円を下回ることはありません。これが実現すれば、消費税引上げによる家計の負担増の大部分が賄えることになります。さらにNHK受信料の大幅な引き下げと住民税非課税世帯への免除を行います。これで3000億円くらい家計の負担を減らします。

こうすれば消費税引き上げの家計への影響は吸収できるのです。ポイント還元策より遥かに効果があることは間違いありません。