ゴーン事件、高額報酬ではなく隠蔽行為が問題

ゴーン逮捕に関して、日本人は高額報酬をねたみすぎ、などという主張が一部にあります。この捉え方は間違っています。日本人の多くは、高額報酬のことを悪いことだとは思っていません。潰れそうな日産を高収益企業にしたゴーンなら、20億円やそこら貰ってもよいと考えています。今回ゴーンを厳しく非難している日産の経営陣や検察もしかりです。検察がゴーンは逮捕した罪名は、有価証券報告書虚偽記載の金融商品法違反ですが、その背後にある逮捕となった決定的理由は、さまざまな悪知恵を使って、実際の報酬を隠蔽しようとしたことです。実際の報酬を約20億円とし、有価証券報告書には約10億円と記載し、残額は退任後に受け取る、その方法は報酬ではなくコンサル料とするなど明らかに隠蔽工作です。それも社内的にはゴーンと一部側近の間で決めて、取締役会の承認も取っていなかったということです。

ゴーンの行為がこれだけの大問題になったのは、すべてゴーンのこの隠蔽工作にあります。

役員の高額報酬大いに結構です。私は、会社の純利益の1%を役員報酬に宛てるべきだと思っています。日産の2018年3月期に純利益は約7500億円ですから、役員報酬に75億円当ててよいことになります。そうなるとゴーンは30億円貰ってよいことになると思います。そして他の役員も5億円や2,3億円貰うことになります。今の日産の場合、役員報酬の総額が30億円で、このうちゴーンが20億円で、その他の日本人役員は1億円台でしたから、ゴーンだけ取り過ぎと言う批判は出て来ると思います。ゴーンとしては、日本人役員の担当は日本のみであり、日本の販売台数は日産の全販売台数の約10%だから、利益への貢献も約10%であり、これくらいが妥当と考えているのでしょう。

私が役員報酬は高額で良いと考えるのは、日本の場合、役員の報酬が低いために、それ以下の社員の給料も低くなっていると考えるからです。役員報酬が高くなれば、それ以下の社員の給料も上がります。純利益の1%という風に枠を設ければ、儲かっていないのに役員のみ高額報酬を取ると言うことはありません。このように高額な役員報酬は、社員にとっても悪いことではないのです。