医学部入試、何が不適切?しっかり反論を!
12月8日の新聞に3つの大学医学部が不適切入試という記事がありました。読みましたが何が不適切なのかさっぱり分かりません。例えば、岩手医大は歯学部からの編入試験で岩手医大歯学部出身者を優遇したということですが、編入試験は本来学内の学部の転換試験であり、学内優先(学内に限る)は当たり前です。
金沢医大では、特別推薦入試で石川県、富山県、福井県の高校出身者を優遇していたということですが、金沢に金沢医大が作られた目的の1つは、北陸地域に医師を供給することであり、不適切ではありません。また、現役・浪人を優遇していたことも、次の福岡大学医学部で述べるように不適切ではありません。
福岡大学医学部では、現役や浪人1,2回の受験生に加点し、3回以上浪人している受験生には加点しなかったことを持って、不適切としていますが、このやり方は合理的であり、不適切とは言えません。なぜなら、浪人の回数が多いと言うことは、正解に至るまでに時間がかかると言うことであり、医療でいうと何回も診断ミスや治療ミスをする可能性が高いということです。従って、浪人回数が多い受験生を忌避することは、医療の目的から言っても妥当なものです。浪人回数が多い人の忌避は、企業の採用においては当然のことです。むしろ、医学部入試においては、受験回数を3回までに制限してもよいくらいです。司法試験では5回まで制限しており、命を預かる医学部入試ではそれを上回る厳しい制限があってよいと思われます。
このように、文部科学省から不適切と指摘された3大学の入試は、なんら不適切ではありません。逆に、医療の現場まで考えた適切な判断と言えると思います。国家試験で大学ぐるみで不正を働いたのなら分かりますが、入試は、私立大学の見学精神や運営理念がよく反映される場面であり、文部科学省が適切・不適切と介入する所ではありません。
3大学のコメントを読むと、各大学とも不適切との指摘をあっさり認め、「今後は改めたい」と述べていますが、そうではなく、各大学の考え方をしっかり主張すべきです。反論すれば文部科学省から予算を減らされるかもしれないという危惧があってのことだと思われますが、それでは医学部入試の議論は深まりません。
文部科学省は不祥事が続出し、信頼に足る官庁ではありません。文部科学省が指導している現実離れした学力絶対主義、平等主義が日本停滞の最大の原因となっています。文部科学省に絶対服従の国立・公立大学に比べ、私立大学は、社会の変化にいち早く対応した入学者選抜や教育ができ、今後日本の変化を引っ張る教育機関です。文部科学省の言いがかりともいえる「不適切」の烙印には、しっかり反論して欲しいと思います。