経済産業省は不要かも

経済産業省が最近変です。直近では、日本産業革新投資機構(JIC)の民間取締役9名全員が辞任し、JICが活動停止に至るという醜態を晒しています。これの発端は、経済産業省の提案で、役員報酬は業績によって1億円超えもあるという報酬規則を制定したにも関わらず、これが新聞で批判的に報道されたことから、政府内で反対意見が出て、撤回したことでした。更に経済産業省は、経営陣に全面的に任せる運営体制についても、従来のような経済産業省のチェックが効く運営体制に戻すよう要請したことで、これらの前提の下で就任を承諾していた社長や他の取締役を怒らせてしまったようです。「話が違う。もう信用できない。」という訳です。これは明らかに経済産業省の重大な判断および手続きミスです。

これ以外でも、経済産業省の案件では、ちょっと変と思われる内容が多いです。現在来年10月からの消費税引き上げ対策として経済産業省が目玉にしようとしているカード決済に伴う5%還元対策もそうです。これはポイントを還元することに依ってお得感を出し、消費税引上げに伴う消費の落ち込みを防ごうと言うものですが、よく考えると、現在カード決済を行っていない多くの中小企業にとって、カード手数料負担が増えることから、利益が減少し、自分の首を絞めることになります。それに、これを行う9か月間は、カード手数料を3%程度に抑えるということですが、その後は5%程度になることが予想されており、5%程度利益が減ることになります。これに対しては、カード手数料の3分の1を補助するとの政策を追加しましたが、これでは問題解決にはなっていません。また、5%ポイント還元策が行われると、期間終了前に家電などの前倒し購入や日用品の買い溜めが起き、期間終了後大きく消費が落ち込むことが予想されます。これは長く続き、中小小売店に深刻な影響を与えます。これなど、分かっていながら知らぬふりで、無責任な態度です。

このような経済産業省の軽薄化は、昨年導入したプレミアムフライデーから顕在化してきたように思います。金曜の午後は早く仕事を終えて帰るようにして、消費を刺激しようということでしたが、今ではやっている会社もないのではないでしょうか?当初から予想されていたことで、大ズッコケの政策でした。ここから、経済産業省はズッコケることが怖くなくなったようで、次々とズッコケています。

安倍首相は、お堅い財務省を遠ざけ経済産業省を重用していると言われていますが、経済産業省は、安倍首相を喜ばせようと軽薄な政策を次々と打ち出しています。安倍首相は、日本人の中央値に属する人で、日本人の最大多数派に属する首相です。民主主義国家である限り、首相はいずれ中央値に属する人から選出されるようになります。この場合、成績優秀な官僚は、自らのレベルを下げて中央値の首相のレベルに合わせようとします。例えば首相が中曽根氏や福田氏、宮沢氏のような日本のトップレベルの秀才であれば、官僚は自分の優秀さの限りを出さないと評価されないので必死になりますが、安倍首相ならレベルを落とて対応します。その結果、経済産業省の官僚は、楽することを覚えたものと思われます。

今では、日本の一流企業は、経済産業省を必要としていません。それを感じている経済産業省は、何とか政府に取り入って存在感を出そうとてもがいているようです。でも今の政策では国民に迷惑をかけるだけです。経済産業省は必要ないと思います。