歯周病、体験的仮説

12月23日付の東洋経済オンラインに「歯周病を軽視する大人が抱える重大リスク」という記事がありました。内容は、歯周病の原因菌である歯周病菌が出す毒素がアルツハイマー型認知症や糖尿病、心筋梗塞などの原因となっており、甘く見てはいけないというものです。アルツハイマー型認知症というのは、脳で記憶を司る海馬と言う部分にβアミロイドという物質が蓄積した結果、その部分の細胞が委縮・壊死することによって発症する認知症です。これが歯周病とどう関係するかと言うと、歯周組織(歯茎)に住み着いた歯周病菌が毒素を出すと、免疫細胞から炎症サイトカインという物質が放出され、歯茎に炎症を起こすとともに、血液の中に入って体を循環します。一部は脳内に入り込み、βアミロイドを作る原因物質となるという訳です。

この考え方は、十分あり得ると思いますが、歯周病患者の助けにはなりません。何故なら、「歯周病患者ではなぜ歯周病菌が増えるのか」という疑問に答えていないからです。

私も若いときから歯周病に悩まされてきました。30代の中ごろには、歯周病が悪化し、当時住んでいた大阪市内の歯医者で「あと5年で総入れ歯ですね」と言われました。そこで書店で「本当は治る、治せる歯周病」という本を見つけて、著者が経営する高崎の丸橋歯科医院まで約1年半通い、治療してもらいました。交通費や宿泊費込みで総額200万円(自由診療)くらいかかりましたが、今でも多くの歯は無事であり、命拾いしました。丸橋歯科医院の丸橋院長が言っていたのは、「歯周病は体質病であり、体が生まれつき弱い人が罹る。そういう人は化学物質入りの食品の摂取を控えるなど食事に気をつけないといけない。」と言うことでした。丸橋歯科では、食事指導に力を入れており、白米ではなく胚芽米、高温殺菌牛乳ではなく低温殺菌牛乳、牛肉や豚肉より鶏肉、動物タンパクより植物タンパクを摂るよう言われます。私も最初は言われた通りするのですが、長続きしません。そうして2,3年経つとまた歯周病の症状が出て治療する、の繰り返しでした。

歯周病になるのは、歯磨が悪いせいと言われますが、周りを見ていると、ぞんざいな歯磨なのに、歯周病にならない人はたくさんいます。やはり、「歯周病になりやすい体質と言うのがあり、それはいったい何が原因か」ということをずっと気に懸けていました。この間も歯を磨くと出血することがある、朝口の中が少し粘つくなど軽い歯周病を思われる症状が続いていました。

ところがある日、この症状がピタリと無くなったのです。ある頃、不眠症で悩まされ、病院で睡眠導入剤を処方して貰おうと考えました。そして、薬と言う化学物質を使う前にテレビやネットなどの広告で見た睡眠に関するアミノ酸を試すことにしました。1つは睡眠アミノ酸と謳っていた味の素のグリシン、もう一つが「二度寝の妻が・・」と広告していた協和発酵バイオのオルニチンでした。この2つの試供品(500円)を取り寄せ、飲んでみました。最初にオルニチンが届いたので、飲んだところ、不眠症状が改善しました。それと同時に、飲んだ翌日、口内のねばねば感がなくなり、歯を磨いても出血しなかったのです。「あれ、歯周病が治ったかも」と思いました。でも証拠はありません。

その後、左上奥歯の連結した3本のうち真ん中の歯が折れたため、治療のため福岡市内の歯医者に行きました。そこの受付では、歯周病菌が歯周病の原因であり、抗生物質で殺菌除去しましょうという内容のビデオが流されていました。このビデオを見たとき、今日の検査で歯周病菌が居なければ、オルニチンを飲んだ翌日に感じた歯周病が治ったという証拠になるのでは、と思いました。歯の状態を検査したところ、歯周ポケットが7,8mmある歯もあり、検針で出血するところもあることから、検査中に「重度の歯周病ですね」と言われました。ところがその後、歯周ポケットの液を顕微鏡で見たら、歯周病菌は殆どいないのです。検査者は「あれ、何か抗菌剤を使っています?」を聞きます。もちろん何も使っていません。私は「やっぱりな」と思い、オルニチンの話をしましたが、全く相手にして貰えませんでした。私は、オルニチンを飲めば歯周病菌を駆除できるのではという仮説を強固にしました。

オルニチンを飲んだら、歯周病症状が治った、不眠症が改善したなど、予想以上の効果があったため、オルニチンについてネットで調べてみました。最近テレビで、オルニチン入りの食品、機能性食品が宣伝されていますが、どれもシジミ成分であることを強調していて、科学的とは言えません。ネットで調べると、オルニチンと言う物質は、人が生きていく上で重要な物質であることが分かりました。なんと肝臓とミトコンドリアにまたがる「オルニチン回路」というオルニチンの名が付いた重要な仕組みがあるのです。ネットで「オルニチン回路」で調べて見て下さい。これについて書かれた医学生や看護師向けの生化学の解説書が出てきます。オルニチン回路は、食べ物の消化により生じた有毒なアンモニアを無毒な尿素に変える働きをしています。人が生きていく上で重要な物質であるタンパク質はアミノ酸からできていますが、アミノ酸にはアミノ基(-NH2)が付いています。たんぱく質が胃腸で消化されるとバラバラになった-NH2にH+(水素イオン)がくっ付いてNH3+(アンモニア)になり、更にHがくっ付いて NH4+(アンモニウムイオン)が作られます。アンモニアは有毒ですから、直ぐに肝臓に運ばれて、オルニチン回路で無毒な尿素に代えられ、尿として排泄されます。オルニチンは、オルニチン回路で中心となって働く物質なのです。こんな重要なオルニチンは、健康な人では体内でアルギニンの分解などにより十分に作られるのですが、一部に生まれつき十分なオルニチンを作れない人がいると思われます。また年を取るにつれて、体内で作られるオルニチンの量が減少し、不足する人も出て来ると思われます。その結果、体内で発生したアンモニアがオルニチン回路で全部尿素に変えられず、残ったアンモニアは血液循環に入ることになります。そうなると、血液中の免疫細胞がダメージを受け、免疫力が低下します。その結果、免疫機能が低下した歯周組織に歯周病菌がはびこり、歯周病となると考えられます(私の仮説です)。(尚、アンモニアの減少は、下着や布団からアンモニア臭がしなくなるなることから、実感できます。)

この減少したオルニチンを外から供給してやれば、アンモニアは全部無毒化され、血液中の免疫細胞は活性化し、歯周病菌などの細菌を駆除してくれます。これが私の歯周組織に歯周病菌がいなくなり、歯周病症状がなくなった原因と考えています(検診で深い歯周ポケットがあったのは、昔歯周病だったためか?歯周病菌がいないから今は歯周病ではないということで良い?)。

これは私の体験と仮説であり、オルニチンの宣伝を意図したものではありません。私の関心は、人間の体が生産する最大の毒物であるアンモニアと病気、体調との関係です。最初に出てきたアルツハイマー型認知症の原因もアンモニアが原因ではないかと考えています。もっとアンモニアと病気、特に未病の関係が究明される必要があると思います。