NHK赤字予算はネット受信料への布石
1月15日、NHKが2019年度予算案を発表しました。ここで驚いたことは、民間会社の純利益に相当する事業収支差金を30億円の赤字としたことです。事業収入は前年度比1.1%増の7,247億円、そのうち受信料収入は0.5%増の7,032億円を予想しながら、赤字決算とは驚きです。更に驚くのは、2020年度には215億円の赤字になるとしていることです。
昨年9月の中間決算では、事業収支差金は306億円の黒字になっていますので、普通に考えれば年間約600億円の黒字となります。2019年度は、消費税引き上げに当たって受信料に対する消費税2%の引き上げは、NHKが負担すると言っていますが、この金額は単純に計算して約70億円(7,032億円÷2×2%)に過ぎません。従って、消費税2%を負担するから赤字になることはありません。赤字になる理由は、来期支出を大幅に増やすからということになります。来期支出を600億円以上増やす計画だと思われます。
そして翌2020年の赤字は、予定する2%の値下げ分赤字になるという論理だと思われます。
あきれる予算です。民間企業なら、経費圧縮や資産売却で何が何でも黒字の計画を組みます。そうしないとお金が回らなくなるからです。しかし、NHKには全くこういう危機感がありません。それは、この程度の赤い字は、資金繰りには全く影響ないからです。
それを説明します。NHKの2018年3月期の連結決算書を見ると、本来の事業収入7,851億円、同支出7,677億円で、本来の事業収支差は175億円のプラスとなっています。これにその他の取引で約100億円の利益(内容不明)が出て、合計約275億円の収支プラスとなっています。一方資金の収支を見ると、現金が1,148億円増加しています。収支プラスが275億円なのになぜ現金が1,148億円も増えるのかというと、本来の事業収支を計算する際に、減価償却費などお金が出て行かない費用を計上しているからです。これが767億円あるため、収支のプラスが少なく出るのです。減価償却費は、建物の建築費や放送設備などの取得価格を使う期間に分割して計上したもので、お金は既に支払ってあり、出て行きません。従って、現金収支が本来の業務とその他収支のプラス275億円の4倍以上の1,148億円のプラスになっているのです。これからすると、NHKは870億円の赤字になっても現金収支はプラスで、何ら問題なく経営して行けることになります。これなら、年間約1,000億円(約15%)の値下げが可能です。だから、215億円の赤字など屁でもないのです。しかし、この意味合いを知らない国民には、215億円の赤字だと大変だという印象を与えます。それがNHKの狙いです。
NHKが赤字予算を出してきた狙いは、ずばりテレビ受信機を持たないがパソコンやスマホを持つ人からも受信料を取る布石です。NHKは受信料2.5%と引き下げと引き換えにネット同時配信を認められましたが、これでテレビと同様の理屈で、パソコン・スマホ所有者にも受信料を払へと言えることになります。今でもテレビ受信機を持たない人がかなりいますが、今後は益々増えてくると予想されます。そういう人でもパソコンかスマホは持っていることが多いので、NHKとしては受信料支払い義務対象者が増え、収入が増えることになります。その結果、NHKは益々リッチになり、その分国民の生活は益々苦しくなります。
NHK受信料は、見る見ない関係なく払わされますので、NHKの維持が目的であり、税金の性格のものです。これを国民がNHKと契約して払っていると偽装しているので、所得に関係なく同額負担となっています。そのため、高所得者には何でもない負担額が、低所得者には重い負担となっています。低所得者は食費を削って払っている人が多いと思われます。だから、受信料支払い対象世帯の約20%、約900万世帯という驚くべき不払い世帯があるのです。これは不届きで払っていないのではありません。生活が苦しく払えないのです。本来税金は、所得に応じて負担すべきものです。それが契約の対価と偽装して、所得に無関係に同額の支払い義務を負わせていることが諸悪の根源です。無差別殺人ならぬ無差別徴収が問題なのでです。
また、NHKは、民間放送と変わらない放送が大部分(約80%)を占めており、実体は公共放送部門(約20%)を持つ巨大な民間放送です。これをNHKは、公共放送と称して、民間放送部分のコストまで受信料に含めて徴収しているのです。
これらを考えると、放送法を改正し、NHKを民間放送と公共放送に分割し、公共放送部分だけ所得に応じ負担するようにする必要があります。(詳細は下記記載のURL参照)
放送法改正のためには、これを公約に掲げる政党の候補者を国会に送り込む必要があります。そのために、受信料に不満を持つ人たちは、選挙に行ってその政党に投票する必要があります。
今年は4月に統一地方選挙があり、7月には参議院議員選挙があります。地方議会議員選挙は、国政選挙の前哨戦です。既に13の地方議会議員選挙で「NHKから国民を守る党」の候補が当選しています。これらの当選者の得票率を見ると有効投票数の約2.2%であり、不払い者が約1,350万人(1世帯1.5人として計算)、有権者の10%以上いることを考えると、得票率はまだまだ上がります。即ち、「NHKから国民を守る党」の地方議会議員は今後どんどん増えるということです。
そして本当の勝負は参議院議員選挙、衆議院議員選挙です。受信料に不満を持つ人を含めると潜在的支持者は約3,000万人いますので、全員投票すれば、約150人の国会議員を誕生させられます。そしたら放送法を改正し、NHK受信料問題を解決できます。これを目指して頑張りましょう。