放送法の審議、利害関係者の排除を

NHKのネット同時放送を認めるための放送法改正の審議が衆議院の総務委員会で始まったようです。NHKのネット同時放送に最も強く反対しているのは、民間テレビ局とその親会社の新聞社です。新聞では民業圧迫と表現していますが、本音は子会社の民間テレビ局の経営にマイナスになるから反対ということです。このように新聞は、受信料に苦しむ人のことは念頭にありません。

民間テレビとその親会社の新聞社を除く国民にとっては、ネット放送の開始に伴いテレビ受信機はないけれどパソコン、スマホを持つ人から受信料を徴収しようという動きになることが心配されます。NHKは、総務委員会に来期30億円の赤字、その翌年240億円の赤字となる事業計画を提出したということですが、その狙いは、ネット受信料を徴収しないとやっていけないとアピールするためです。

NHKは公共放送と称していますが、放送内容を見れば公共放送と言える内容は2割程度で、残り8割は民間放送と変わらない内容です。即ち、NHKは公共放送部門を持つ巨大な民間放送なのです。それを公共放送部門を隠れ蓑として、民間放送部門の費用まで受信料で徴収しているのです。その受信料は、契約しない自由はありませんから、実質NHK負担金、即ち税金です。税金なら通常所得に応じて徴収しますが、受信料は所得に関係なく一律になっていますから、高所得者には何でもない負担でも、低所得者には厳しい負担となっています。その結果、払えない人が多く、受信料対象世帯の約20%、約900万世帯が払えない状況です。NHK受信料は、所得が少なく、住民税も非課税になっている世帯からも徴収しているのですから、払えない世帯が沢山出るのも当たり前なのです。

NHKは、ネット放送を認めて貰うために、今年10月から予定されている消費税2%引き上げ分をNHKが負担する、来年の4月から受信料を2.5%値下げするとの譲歩案を出しています。来年度および再来年の事業計画では、この分が赤字となっていますが、これに騙されてはいけません。2018年3月期の決算を見れば、事業収支差は175億円の黒字となっていますが、現金収支を見れば年間1,148億円現金が増加しています。これは、事業収支差には現金支出を伴わない費用が約1,000億円計上されているからです。経営は現金を増やすことが目的ですから、現金収支を見る必要があるのです。現金が1,148億円増加しているということは、この分約15%の値下げが可能ということです。それを4.5%でも赤字になるとし、ネット受信料の創設につなげる狙いですから、姑息です。

これから衆議院の総務委員会において審議が始まるようですが、まず公平な審議の前提として、NHKと利害関係がある議員は参加してはいけません。NHKと利害関係があるとは、NHKやNHKの子会社に子息や親族を就職させている議員、支援者などに頼まれて支援者などの子息、関係者をNHKやNHKの子会社に就職させてくれるよう依頼したことがある議員です。NHKに借りがあるわけですから、公平な審議は期待できません。NHKは、放送法審議に備えて、総務委員会所属の議員に恩を売り、その議員をNHKの傭兵化していると思われます。従って、総務委員会所属の殆どの議員が利害関係者になっているかも知れません。知っている議員をチェックしましょう。

受信料に苦しめられている人は、総務委員会の審議に注目し、放送法改正案に賛成した議員と政党には投票しないことが必要です。