新聞はあと2000万部減少する

新聞の発行部数が2017年の3,876万部から2018年には3,682万部へ1年間で194万部(5.0%)減少しています。年間の減少幅が100万部から200万部近くに増大したことから、新聞業界が危機感を募らせているということです。これでも1世帯当たり0.7部取っている計算ですから、まだまだ多過ぎると思われます。私の予想では、一世帯当たり0.3部辺りに収束します。そうだとすればあと2000万部減少することになります。年間200万部、10年間に渡り減少を続けると思われます。

これだけ減少する理由は、3つあります。1つは、インターネットの発達により、欲しい情報がリアルタイムに入手できるようになり、1日遅れの新聞は時代遅れになったことです。

2つ目は、国民の情報収集の姿勢が受け身から自ら取りに行く方向に替っていることです。これまでは、新聞から与えられる情報を丸ごと受け入れていましたが、今ではインターネットの発達により、自分から必要な情報を取りに行くように変化しています。

3つ目は、家計の収入が増えない中で、スマホ、インターネットに関する支出が大きくなり、この分新聞購読料を減らさざるを得なくなっていることです。スマホやインターネットが無かった時代には、固定電話の毎月の料金が3,000円程度だったのが、スマホとインターネット関連の料金で10,000円は必要になっています。この増えた7,000円は新聞を止めて賄うことになります。だから、家計の遣り繰りから考えれば、新聞の発行部数の行き着く先は大体予想が着くのです。

新聞を止めて見れば分かりますが、生活に全く支障ありません。日常の大きなニュースは、テレビやネットニュースで間に合います。深い内容については、ネットで専門家のブログなどで調べることができます。そのようなブログを読んでみると、新聞の記事が表面的であること、またある方向に誘導しようとして書かれていることが分かります。新聞は営利企業であり、自社の利益を確保するため、読者をある方向に誘導するような記事の書き方をします。インターネットで多様な意見に触れるに伴い、購読者はそこも嫌になっていると思います。

マッカーサーは、米国議会での証言で「日本人は12歳」と言っていますが、言わんとしたことは、与えられる情報が一面的であったため、自ら考え判断する訓練が出来ていなかったということだと思います。10年前まで1世帯当たり1部以上の新聞を取っていたということは、新聞情報が国民の得る情報の大部分だったということです。その力を元に新聞は、政府や官庁や財界の広報官の役割を果たし、強い影響力を確保してきました。それがインターネットの情報によって、その存在価値を粉々に破壊されているのが現在の状況です。情報源が多様化したおかげで、国民は、様々な意見に接し、自ら取捨選択する能力を養っています。その結果、新聞を不要と判断し、止める動きが加速しているのです。

このように、新聞の発行部数が減るということは、国民が自律的に考えるようなるということであり、歓迎すべきことです。