昔サラ金、今携帯電話
携帯電話3社の2019年3月期の第三四半期決算が発表されました。
NTTドコモ 営業収益3兆59百億円、営業利益83百億円(営業利益率23.2%)
KDDI 営業収益3兆77百億円、営業利益82百億円(営業利益率21.8%)
ソフトバンク 営業収益2兆77百億円、営業利益63百億円(営業利益率22.8%)
3社合計 営業収益10兆13百億円、営業利益2兆28百万円(営業利益率22.5%)
トヨタ 売上高約22兆47百億円、営業利益1兆42百億円(営業利益率6.3%)
これを見れば、携帯電話3社が如何に暴利を貪っているかが分かります。日本一の製造メーカートヨタを遥かに凌ぐ営業利益を上げ、3倍以上の利益率を誇ります。事業の遂行にトヨタ以上の難易度があり、ノウハウを必要とするのなら、文句はありません。携帯電話事業は、通信設備や通信機器は他のメーカーが提供しており、携帯電話3社の事業の拠り所は、国から電波の割当を受けていることのみです。それもその電波は、国民の財産です。このような携帯電話事業は、電力やガスなどの事業と同じように公益事業です。公益事業は、国民に安価な料金でサービスを提供する義務があります。電力9社の営業利益率は約5%(2018年3月期実績)ですから、携帯電話3社の営業利益率も5%程度になるのが当然なのです。それを公益事業であることを忘れ去り、携帯電話が国民の生活に不可欠であることを利用して、高価な料金を設定し、2年縛り契約などで利用者が他社に移れないようにして、3社が好きなだけ家計からお金を吸い上げています。この仕組みが出来たのは、監督官庁の総務省が主導的役割を果たしたからです。更に公正取引委員会が黙認したからです。
携帯電話事業は、世の中で一番楽で儲かる事業になっています。かってサラ金が銀行を凌ぐ利益を上げていた時代がありますが、携帯電話3社は昔のサラ金と同じです。利益に正当性がないのです。2018年の実質賃金はマイナスと言われており、家計は苦しい遣り繰りを続けています。この中で、携帯電話3社は暴利を貪り、家計を苦しめています。この状態は長い間続いており、家計から携帯電話3社に吸い上げられた暴利は10兆円は下りません。現在、菅官房長官の指揮のもと携帯電話料金の値下げが議論されていますが、この四半期決算を見れば分かるように、携帯電話3社の決算には全く影響ありません。影響が出ないように総務省が進捗を遅らせているものと思われます。
携帯電話3位のソフトバンクは、2019年3月期は営業利益80百万円程になりそうですが、昨年12月には株式を公開し、これにより親会社のソフトバンクグループは2兆40百万円の資金を吸い上げました。この株式公開は、携帯電話料金の値下げが言われ始めてから急ぎ計画されたもので、値下げ分を先に確保しようとしたものと思われます。これらの資金がソフトバンクグループの派手なM&Aや海外投資の資金となっており、ソフトバンクグループの資金源は日本の家計です。この家計の資金が海外に持ち出されているのです。
そんなソフトバンクは、値下げを表明したNTTドコモに追随するつもりはないと言っています。これが言えるのは、通信回線さえ持っていれば、回線使用料でこれまで通りの利益を確保できるからです。通信回線の使用料(貸出料)を通信回線を保有する携帯電話3社が自由に決められることにすれば、携帯電話料金の値下げは自ずから限定されますし、契約がMVNOに移ったとしても、携帯電話3社は通信回線使用料でこれまでと変わらない利益を上げられることになります。これは不労所得、利権所得であり、許されません。携帯電話料金問題の解決には、通信回線を電力の送電線会社のように仕組みにすることが不可欠です。