マンション、最後は厄介資産となる

滋賀県野洲市で廃墟マンションを撤去できずに困っているとの報道がありました。築47年で、10年以上誰も住んでおらず、危険な状態とのことです。所有者の中には連絡を取れない人もいて、解体しようにも解体できない状態だと言うことです。それは、マンションの躯体部分は、所有者の共同所有であり、所有者の5分の4以上の同意がないと解体できないからです。ここの所有者は9名であり、その5分の4は7.2人で、8名以上の同意が必要となります。しかし、このマンションの場合、2名の所有者との連絡が取れないということで、解体できないようです。

この問題は、全てのマンションに起こり得る問題だと思われます。マンションは、築30年を超えてくると所有者が固定してきます。そしてそのまま老後も住み続けることになります。一戸建てと違って子供が代わりに住むことは少ないと思われます。その結果、最後は空き部屋が多くなり、十分な修繕や管理が出来なくなり、廃墟となる可能性が高くなります。そして、野洲市のマンションと同じような問題となります。また、住民がいたとしても、新たに住む場所の問題や資産状態から解体に同意しない人も多数出てくると考えられます。これは全てのマンションに予想される問題であり、今から手を打っておくべきことです。

解体費用の確保については、2つ考えられます。1つは、管理組合で毎月積み立てることです。しかし、住民が少なくなり管理組合もなくなることも考えられます。そこで2つ目として、マンション分譲会社が分譲時に解体費用を販売価格に上乗せし、銀行口座で管理する(解体時にしか引き出せない)ことが考えられます。

解体費用が確保されていないと、最終的に自治体が強制執行によって解体するにしても、資金が持ち出しになります。解体費用は高額になることが予想されますので、結局自治体でも解体しないことになります。都市部では建物解体後、土地を処分して解体費用に充てることも考えられますが、土地が処分できない地域も出て来ると考えられます。

このようにマンションは、最終的には解体が必要となるのですが、マンション購入者や住民には全く意識されていません。解体のことを考えれば、マンションを買うとすると50年程度の定期借地権付きのものが合理的かも知れません。そうなるとマンションは1世代だけの利用権ということになりますので、マンション購入よりも賃貸マンションという選択が賢いように思えます。50歳くらいまで賃貸マンションに住み、その時点で老後の住宅を考えます。地方に移住して一戸建てを購入することも考えられますし、70歳くらいで高齢者住宅または老人ホームに入るとすれば、そのまま賃貸に住み続けることも考えられます。1戸建ては、解体も容易ですし、土地代は残りますが、マンションは解体がままならないばかりか、場所によっては土地も買い手が付かないことが多いため、子供が相続しても厄介な問題を抱え込むことになります。このように、マンションは、確実に負の資産化します。