「問題構造学入門」
3月15日のブログに書いた「構造歴史学」には元ネタがあります。それは就職後間もなくして出会った「問題構造学入門」という本です。就職後職場に配属されて上司からよく「業務上の問題点を見つけ出して自分で解決するように」という話がありました。でも当時の私には、そもそも「問題」とは何かが分かりませんでした。「問題」という物があるわけでないので、「おばけ」という言葉と同じで、「問題」がどういうものを指しているのかが分からなかったのです。だから上司の要求に叶う仕事ができるはずがありません。
そんな中、本屋を覗いていて出会ったのが「問題構造学入門」という本でした。問題構造学では、「問題には構造がある」という考え方が基本となっています。問題の定義として一般的には、「本来あるべき姿と現実の姿のギャップ」と言われます。何となく分かるのですが、具体的な問題解決に役立たないような気がします。そこで問題構造学では、問題を「本来あるべき構造と現実の構造の不整合性(差異)」と定義します。具体的に建物を例に説明すると、「本来あるべき構造」は設計図に書いてある構造となります。そして「現実の構造」は、実際に出来上がった建物です。実際に出来上がった建物が設計図の通りになっていれば、問題はないことになります。しかし、実際に出来上がった建物に、設計図にはあった屋根裏の界壁(仕切り壁)が無かったとなると、これが問題ということになります。例のレオパレスのアパート問題です。モノづくりの場合、設計品質と実際に作ったモノとの品質の差が問題となります。しかし、営業活動などモノではなく、実体が目に見えづらい行動の場合、モノほど簡単には行きません。「本来あるべき構造」が決まっていない、或いは明確でない場合が多いのです。従って、「本来あるべき構造」から作って行く必要があります。そして、「現実の構造」を正しく把握する必要があります。この2つの作業が入ってきて、かつこれらの作業は難易度が高いため、問題の構造の把握が難しくなります。しかし、問題の構造が把握出来れば、解決に直結します。構造として把握できない問題は、解決できる問題ではないことになります。
本来あるべき構造を決めるときの技術としては、KJ(川喜田二郎)法やNM(中山正和)法などが役立ちます。
大学生の頃、ソシュールやレビ=ストロースの話をする人がいて、このとき構造主義と言う言葉を聞いたことがあります。問題構造学と言う言葉もこの流れから来たものかも知れません。こうして出会った問題構造学の考え方が構造歴史学の背景にあります。