住民税非課税世帯からもNHK受信料はおかしい
低所得世帯の学生を対象に大学など高等教育を無償化する「大学等修学支援法」が4月11日の衆院本会議で可決され、今国会で成立する見通しだそうです。無償化は授業料の減免と給付型奨学金の拡充の2つが柱で、対象は世帯年収の目安が380万円未満の世帯で、来年4月に施行されます。このうち完全無償化(国立大学なら大学の入学金・授業料全額免除。ただし私立・公立大学は70万円程度の減額。)の対象は住民税が非課税の世帯(子供2人世帯なら世帯年収270万円未満程度。)とそれに準ずる世帯だそうです。要するに、住民税非課税世帯は生活するのに精一杯の所得水準であることから、子供が大学に行く場合の学費は国で面倒を見ましょうという訳です。妥当な考え方だと思います。
そうなると腑に落ちないのがNHK受信料です。NHK受信料は、住民税非課税世帯からも徴収しています。「受信契約したのだから」ということでしょうが、NHKを見たくて契約したのなら分かりますが、受信契約は強制です。だから、「契約したのだからから」という理由は成り立ちません。受信契約が強制だということは、契約と言う形を取っているけれど、実体はNHK負担金であり、税金だということです。税金ならば、所得に応じて払うのが原則です。しかし、NHK受信料は、受信契約に基づくものと偽装しているため、所得に関係なく同額になっています。このため、高所得世帯にとってはわずか負担(月2,230円)も、低所得世帯にとっては、大変重い負担になっています。それもNHKなんか見ない状況で、です。見ないにも関わらず毎月払わされるから、頭に来ます。住民税非課税世帯になると、毎日節約のし通しです。どこの支出を削るかに苦労しています。そこで真っ先に削りたいのがNHK受信料です。電気やガス、水道のように、生きるために不可欠のものではないからです。NHK受信料を節約できれば、夕食のおかずを一品増やせます。即ち、住民税非課税世帯は、食費を削ってNHK受信料を払っているのが実情です。
こういう状態ですから、不払い世帯も出ます。NHK受信料は、受信対象世帯の約20%が不払いと言いますが、住民税非課税世帯からも徴収しようとしているのだから、当たり前のことです。この不払いは、払わないのではなく、払えないのです。
こういう実情にあるにもかかわらず、政府や国会は、NHK受信料制度を見直そうとしません。昨年最高裁判所がNHK受信料の根拠となっている放送法は違憲とは言えないと言う判決を出しましたが、放送法の内容は国会が決めることであり、最高裁として違憲と判断するレベルに達していないという趣旨です。放送法がおかしいかどうかは、国会で議論して下さいということです。なのに、政府や国会は、まるで最高裁が放送法は今のままでよいと認めたように言い、放送法を改正しようとはしません。それは、NHKの主管官庁である総務省がNHKを守ることに一生懸命であり、国会議員の中には、子弟や関係者をNHKやNHKの関係会社に就職させてもらい、NHKに取り込まれている議員が多いからです。これはNHKが放送法を維持するため、長い間に渡り国会議員の取り込みを図った成果でもあります。
このような状況を打破するためには、NHK受信料で困っている人やNHK受信料に不満を持っている人は、選挙でNHK受信料制度見直しを公約とする候補に投票し、国会や地方議会に送り込む必要があります。NHK受信料不払い者だけでも約1,350万人(受信料不払い世帯約900万世帯×1.5人)いるはずなので、これだけでも衆議院の全国区で50人以上の議員を誕生させられます。今行われている統一地方選挙では、全国でNHK受信料見直しを公約に掲げる候補者が多数立候補していますので、多くの当選者が出るはずです。そして次の参議院選挙では、NHK受信料見直しを公約に掲げる国会議員が誕生します。この動きは拡大こそすれ縮小することはありません。そしてそう遠くない日にNHK制度見直しのための放送法改正が実現します。