決算書が読めなかったら会社選びはできない
4月になり、この3月に学校卒業した初々しい新入社員の通勤姿が見受けられます。
私は、30年以上東京で会社員生活を過ごしましたが、4月になると新入社員が引き起こす恒例の現象がありました。それは、3月までスムーズに流れていた駅の改札付近が渋滞することでした。どうも田舎から出て来た新入社員がうまく人の流れに乗れず、改札付近で渋滞を作り出すようなのです。この現象が解消するまでには、2週間くらいかかったと思います。
さて、同じ新入社員でも、希望の会社に入れて将来の夢を膨らませている人、希望した会社ではなく、少しがっかりしながらも、頑張ろうと思っている人など、内心は悲喜こもごもだと思います。ここに至り自分の就職活動への取り組みの甘さを反省している人も多いことと思います。
サラリーマンの購読者が多い日経新聞では、4月1日から5日の5回に渡り、新入社員向けに、「入社1年目で知っておきたかった会計の基礎知識」という記事を連載していました。内容は、決算書を読み解く知識であり、会社員になったら決算書は読めないといけないというメッセージです。そして、このメッセージは事実です。
私は、会社員になったら決算書を読めないといけないのではなく、就職する会社選びのためには、決算書を読めることが不可欠だと思います。学生さんで決算書を読んで(分析して)会社選びをしている人はどれくらいいるでしょうか?大体の人が、上場企業が第一志望で、上場企業だから大丈夫と考えているように思います。しかし、上場企業でも財務内容は様々であり、決算書を読めば、この会社は将来危ないとか、この会社は潰れないとか、この会社は盤石だとかが分かります。もちろん自分がやりたい仕事をやらせてくれる会社であることが一番重要でしょうが、それを続けられるためには、その会社が潰れないこと、少なくとも今現在危険な状態にないことは事前に確認しておく必要があります。
就職協定がなくなったこれからは、大学1年から就職活動が始まると考えられますので、大学に入ったら先ず決算書の読み方を勉強すべきだと思います。更には、簿記を勉強し、簿記2級の資格を取得するのがお薦めです。簿記の知識は、経理や財務部門の仕事ばかりでなく、あらゆる部門で必要になります。簿記は、会社における共通語と言えるものです。従って、就職するなら必須の知識であり技術であり、就職後は身に着ける機会が少ないので、大学在学中に身に習得しておくことがお薦めです。