移住には水道のチェックが欠かせない

私たちが生活していく上で不可欠の生活インフラと言えば電気、ガス、水道が代表的です。そして公共料金と言えば電気代、ガス代、水道代が真っ先に浮かぶと思います。これらは全国一律か、大体同じようなものだろうと思いがちですが、全国一律のものはなく、料金差としては、電気代が一番小さく、水道代が一番大きくなっています。従って、移住を考える場合、水道代のチェックは欠かせません。

水道代の全国平均は月3,200円程度のようです。自治体別に見ると、安い自治体は、兵庫県赤穂市961円、和歌山県白浜町1,070円、山梨県富士河口湖町1,195円、静岡県小山町1,250円、群馬県草津町1,418円となります。これ以外に簡易水道を利用しているものでは、愛媛県八幡浜市榎野・矢野畑が月210円など非常に安い例が見られます。水道代が高い自治体を見ると、埼玉県寄居町7,695円、北海道江差町6,965円、北海道夕張市6,852円、宮城県大郷町6,804円、宮城県湧谷町6,660円となります。安い自治体と高い自治体では、実に7倍の差があります。(週刊ダイヤモンド2019.1.15による。月20m3使った場合の料金)

今後の水道代については、下がる要素はなく、大幅な値上げが見込まれます。その原因の1つは、現在多くの水道事業で浄水設備や水道管の更新時期に来ており、更新費用が掛かってくることです。これに人口減少に伴う水道供給先の減少が重なりますので、水道代の大幅な値上げは不可避となります。

こういう事態に直面し、政府は昨年(2018年)12月に水道法を改正し、水道事業を民間企業に委託できるようにしました。同じ公益事業である電気やガスが民間企業で運営されていますから、水道も同じようにしてもいいように考えられます。しかし、人口減少による水道供給先の減少で経営が成り立たなくなった水道事業を民間に委託するのは、人口が増加する中で供給を増やすために民営化した電力やガスとは違います。水道事業を引き受けた民間企業としては、経営できる水準まで水道料金を上げることになります。その料金が高いと言うなら、水道契約を結ばなければよいし、水道を供給しないだけです。このように水道事業の民営化は、公営だと難しい水道代の値上げを容易にする効果があります。従って、水道事業が重荷になっている自治体ほど民営化ニーズが強いはずです。こういう状況で水道事業が民営化された場合、水道料金の値上がりは倍々ペースになることが予想されます。これを防ぐためには、民営化する前に自治体として水道を提供する居住エリアを設定するなど、民営化後も運営可能な水道事業モデルを作り上げる必要があると思われます。

いずれにしても今後は、現在のような人が住んでいればほぼ水道が供給されると言う体制(普及率97.9%)は維持できなくなると考えられます。

従って、今後移住する地域を選ぶにあたっては、水道を良くチェックする必要があります。チェックする内容は、現在の水道料金、将来の見通し(水道供給廃止にならないか、料金が高騰しないか)および水質です。最後の水質については、案外見落とされがちですが、とても重要です。人口減少が著しい自治体の場合、浄水設備などの更新が出来ず、古い設備を使い続けている場合があります。その場合、細菌基準を満たすため殺菌剤の塩素化合物を大量に投入し、その結果水道水に塩素化合物から分離したカルシウムやマグネシウムが大量に含まれたままになっている場合があります。これは水道水が飛び散り乾燥すると白い粉が残りますので分かります(私が経験した例)。水道基準的には問題ないということですが、腎臓に負担がかかる可能性があり、危ないです。

やはり移住は、地下水が豊富で井戸が利用できる地域が良いと思います。少なくとも水資源が乏しい所は止めた方がよいと思われます。