憲法改正よりNHK受信料制度見直しが先!

5月3日は憲法記念日ということで、憲法改正についての報道がいくつかありました。安倍首相は憲法9条の改正が悲願ということで、改憲推進派の集会に、これまでの主張通り来年には憲法を改正し施行したいとのビデオメッセージを寄せたようです。その為にはこの夏の参議院選挙で勝ち、参議院でも憲法改正推進派で3分の2以上の議席を持つことが必要となります。従って、この夏の参議院選挙にはこれまで以上に必死で取り組むと思われます。

さて、安倍首相の狙う憲法9条が改正されたら、何がどう変わるのでしょうか?安倍首相の主張では、憲法9条に自衛隊の存在を明記し、自衛隊を憲法上疑義がない存在にしてあげたいということです。言わんとすることは分かりますが、今でも自衛隊は憲法上も認められた存在です。一部に自衛隊は違憲であると言う人もいますが、相手にされていません。従って、憲法に書くと言っても現状の確認に過ぎません。それを国会の衆議院、参議院で各々3分の2以上の賛成多数で発議し、国民投票に掛け、投票者の過半数の賛成を得ると言う大変な手続きを経て行う意義はどこにあるのでしょうか?今のように憲法9条に自衛隊の存在が明記されていなくとも、他国から侵略されれば自衛隊が全力で防衛に当たるのは間違いありません。ただし、憲法に自衛隊が明記されていないことが海外に攻撃に出かけない抑止力になっていると思われます。従って、自衛隊が憲法に明記された場合、防衛のためと称して海外にまで攻撃に出るようになる可能性があると思います。もちろん安倍首相がこれを狙っているとは思っていません。そのように利用される可能性があるということです。

憲法改正の議論は極めて観念的な議論であり、裕福な人たちの言葉遊びとも言えます。少なくとも、日々の生活で精一杯の人たちがする話ではありません。厚労省の調査によると、日本の相対的貧困率は15.7%。つまり6人に1人が貧困にあえいでいるということです。相対的貧困率とは、収入から税金や社会保険料などを引いた可処分所得が全国民の中央値の半分に満たない人の割合のことで、日本においては、245万円(2015年の中央値)の半分、つまり可処分所得が年間122万円未満しかない人のことだそうです。この範疇に入る人たちをアンダークラスと呼び、非正規社員のうち年収186万円以内の人たちはこれに相当し、その数約930万人で、就業人口の14.9%を占めるということです。確かにこの年収だと所得税や健康保険料を徴収され、年金掛け金を拠出すると使えるお金は年間120万円、月10万円未満となります。これだと食べて行くのがやっとの生活となります。

ここで考えて欲しいことは、こういう生活状態の人からもNHK受信料を徴収しているということです。電気やガス、水道はないと生きていけませんし、使った分だけ払うので仕方ないですが、NHKの放送は、生きていく上で不可欠なものではありませんし、見る必要もありません。偏にNHKのために徴収しているものです。それも年収1000万円以上の人でもアンダークラスの人でも同額です。アンダークラスにとっては、月2,230円と言えば貴重な金額です。これを支払っているとすれば、食費を削って支払っているはずです。従って、払っていない人も多いはずです。払わないというより、払えないと言うのが実体です。アンダークラスの数約930万人がNHK受信料未払い世帯約900万世帯と近い数字であるのは、偶然ではないと思います。

何故この話を書いたかといえば、実生活に何の効果もない憲法改正より、アンダークラスからも徴収しているNHK受信料を見直す方が先でしょうということを言うためです。NHK受信料に不満を持つ人たちは、NHK受信料が先に見直されない限り、憲法改正に賛成してはいけません。「憲法改正よりNHK受信料見直しが先!」と主張して、NHK受信料の見直しを実現しましょう。