大政党制から「1つの公約の党」の時代へ

現在世界では、大政党が衰退し、1つの公約(政策)を掲げる政党「1つの公約の党」が躍進しています。例えばイギリスでは、5月の欧州議会選挙で4月にできたばかりの欧州連合からの早期離脱を掲げる「ブレグジット党」が29議席(イギリスに割り当てられているのは73議席)を獲得し、現政権党の保守党や第二党である労働党を抑えてトップとなっています。またドイツでは、脱原発などの環境政策1本柱の「緑の党」が同じく欧州議会選挙で10議席増の21議席を獲得し、6議席減の現政権党のキリスト教民主・社会同盟の23議席に2議席差に迫っています。6月1日発表の世論調査では、支持率27%と同26%の政権党を抜いたということです。

米国では前回の大統領選挙で誰も予想しなかったトランプ大統領が誕生しましたが、トランプ氏は共和党とは言いながら、実質はトランプ党のようなものです。現状を変える意思が明確であり、変化を求める有権者に支持されました。イギリスのブレグジット党も主張は明確です。国民投票でEU離脱派が多数を占めたのに、離脱の決議をしない議会に業を煮やした有権者の支持を集めているようです。背景には、保守党、労働党の何も変わらない政治があります。ブレグジット党が政権を取れば、EU離脱は速やかに実施されることになります。ドイツの緑の党は脱原発・風力発電の推進・二酸化炭素の削減など環境政策の1本柱ですが、政権を取ればこの政策が実現することは確実です。

このようにブレグジット党や緑の党のように「1つの公約を掲げる党」が政権を取れば、その公約は必ず実現するのです。即ち、1つの変化が生じるのです。今の大政党では、公約は「うちの党にはこういうことをしたいという人が集まっていますよ」と言う意味であり、実現させると言う意味ではありません。様々な考え方の人がいるため当選後調整が始まり、結局実現しないか中途半端になってしまうのです。従って、これだけは絶対に実現したいという問題があれば、その問題の解決だけを公約にする党「1つの公約の党」に投票するのが一番確実な方法です。だから、ブレグジット党や緑の党の躍進は当然のことと思われます。

そして日本を眺めるとブレグジット党や緑の党に相当するのは、「NHKから国民を守る党」だと思われます。4月の統一地方選では26人の当選者を出し、地方議会の新興勢力に躍り出ました。NHK受信料問題の解決というおよそ地方自治とは関係のない公約を掲げてこれだけの議席を獲得することは、これまで考えられなかったことです。それだけNHK受信料が低所得者にとっては重い負担となっているということです。これは、NHK受信料不払いが約19%、900万世帯あることを考えれば、どこかでこういう結果になることは必然でした。同党の出現が待たれていたのです。同党は7月にも予想される参議院選挙にも候補者を立てる予定です。NHK受信料不払い世帯に属する有権者は1,350万人(900万世帯×1.5人)程度いると予想されますので、この人達が全員同党に投票したら、全国区で10議席は獲得できます。さらに受信料は支払っているけど不満な人たちも含めると支持者は3,000万人程度いることになります。従って、同党の躍進は今後も続くことになります。

同党の躍進を見て今後同党のような「1つの公約の党」がいくつか誕生すると予想されます。先ず有望なのが「非正規雇用者の党」です。非正規雇用者は約2,000万人に達すると言われており、正規社員と比べ劣悪な労働条件にあります。これを改善するためには、非正規雇用者の労働条件改善だけを公約に掲げる党のもとに結集する必要があります

また、原発廃止を主張する人達も少なくとも1、000万人はいますから、これも「原発廃止の党」の元に結集すれば、相当数の議員を国会に送り込めます。

急ぎ解決したい問題としては携帯会社の儲け過ぎの問題がありますが、これも「携帯料金値下げ党」を結成し、選挙に打って出れば多数の支持を得られると思われます。

これらの党は多数の支持を得られること確実であり、これにより公約となった問題は確実に解決されることになります。そして自民党や国民民主党、立憲民主党などの大政党は木っ端微塵になるはずです。これにより本当の民主主義社会が到来します。