総務省令改正には携帯料金削減目標額の設定が必要

電気通信者事業法が改正され、施行細則を決める総務省令の改正作業が行われているようです。これまで総務省が省令を改正するたびに携帯キャリア3社は収入増加、家計収奪につなげてきましたので、また同じようなことにならないか心配されます。

6月8日の日経によると2年縛りの契約解除料(違約金)を9,500円から1,000円以下にするとのことですが、やはり2年縛りは残し、携帯3社の肩を持っています。2年縛り契約は、縛りが付ない料金を高く設定し、実質2年縛り契約しかない状況にして、携帯3社の営業利益率20%という高収益を実現しています。そして2年縛りの違約金を9,500円という馬鹿げた金額にすることにより、解約できなくさせているのです。違約金が9,500円から1,000円以下になることは一歩正常化に向け踏み出しかことは間違いありません。しかし、携帯3社は何重にも解約できない仕組みやユーザーから収奪する仕組みを作っていることから、それらの仕組みを全て壊さない限り、問題は解決しません。

その1つは、解約には代理店に出向かなければならいことです。携帯以外でも、契約はネット完了するのに、解約はネットでは出来ないことにしている例が多くなっています。解約は電話によるもののし、その電話がつながらないようして、解約できないようにしています。一番ひどいのが携帯電話で、解約には代理店に出向くことを要求しています。代理店に出向くとなると、近くに代理店がない人は解約を諦めてしまいます。また、代理店に行っても1時間、2時間と待たされます。それを経験すると多くの人が解約を諦めてしまいます。それが携帯3社の狙いです。スマホは手続きを簡略化するネットの入り口でありながら、そのスマホについてはネット手続きを認めていないのです。今ではパソコンでも店舗で買ってきて起動手続きからインターネット開通手続きまで一人で行うのが普通になっています。携帯電話の契約や開通手続きも代理店に出向かなくてもネットで出来ます。現に格安スマホはそうなっています。従って、携帯3社の契約手続きや機種変更手続き、解約手続きもネットでできるようにし、代理店に出向かなくてもよいようにすべきです。代理店は解約阻止の手段となっているのです。携帯3社はこの代理店網維持のために約1兆円くらいの資金(利益)を投入していると思われます。

2つ目は、携帯電話の契約事務手数料、機種変更手数料、乗り換えの転出料が高過ぎることです。それぞれ3,000円、3,000円または2,000円、3,000円ですが、この手続きはそんなに手間暇かかるものではありません。この手数料は携帯電話を人質にした家計収奪です。今最低賃金1000円への引上げが議論されていますが、中小企業は引上げとなれば廃業せざるを得ないと激しく反対しているようです。携帯代理店の高額な事務手数料は、最低賃金問題をあざ笑うものと言えます。アルバイトや非正規社員が必死に働いて時給1000円に満たない中で、携帯電話を人質にとり簡単な事務で3,000円も徴収するのは詐欺みたいなものです。時給にしたら3万円くらいになります。

総務省は、違約金を9,500円を1,000円に下げ国民の目先を躱すのではなく、2年縛りの廃止や縛りのない料金の適正化、事務手数料の適正化も併せて実施しないと、携帯料金の4割値下げは実現できません。菅官房長官の言った4割値下げの意味は、家計負担を4割下げるということであり、それは帯3社の営業収入13兆円を4割5兆円減らし8兆円にすることと言うことです。これまでドコモとKDDIが4割値下げと銘打った値下げプランを発表しましたが、4割値下げになるのは家族3人以上で申し込んだ人だけで、ほんの一部の人だけです。そして容量の大きい契約の料金を大きく下げて契約単価の高い契約へ移行させようとしています。その結果、多くの家計が支払う料金は今より増加することになるのは明確です。即ち、4割値下げと銘打ち、更に家計から収奪する魂胆です。とんでもない連中に通信免許を与えてしまったものです。こういうことになっているのは、総務省が省令や規則を改正するときに、改正によりどれだけの携帯料金を削減するかの目標を設定していないからです。削減目標額により改正内容が違ってきます。今回の改正作業も携帯料金削減金額を設定していないため、改正内容が中途半端であり、後日改正効果を検証できません。今回は、菅官房長官の4割削減=5兆円削減を目標に設定して省令改正作業をする必要がります。そうしないと改正したけれど、携帯3社の営業収入は増えた、即ち家計負担は増えたことになること間違いありません。