「年金では暮らせない、先ず謝れよ」が最悪の反応
金融庁が金融審議会の審議に基づき、95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示したことが波紋を呼んでいます。これまで政府は、今の年金制度は老後の生活に支障のないものだと説明してきかたからです。これについて、野党の幹部が、「年金で暮らせない。まず謝れよ」とコメントしたと報道されていますが、この記事を見て多くの国民が「ああ、やっぱり野党はダメだな」と思ったのではないでしょうか。
金融庁のこの報告は、大企業や公務員などの恵まれた年金生活者についてのものであり、違和感を覚える方も多いと思います、資料を見ると、現在厚生年金加入の夫婦2名の平均年金額は22万円となっています。この金額以上を貰える夫婦は日本全体では3割もいないのではないでしょうか?残りの7割の夫婦はこれ以下で、平均14,5万円くらいだと思います。自営業の単身世帯は月10万円以下の年金で暮らしている人も多いと思います。それでも暮らしていけないことはないのです。田舎なら1人10万円もあれば十分暮らして行けます。田舎には娯楽も少なく、買い物の場も少ないことから、お金を使う機会がないのです。また、年を取れば欲しい物もなくなりますし、関心は断捨離になります。都会で働いて定年を迎えた人で年金額が少ない人は田舎へ引っ越せばよいのです。それで十分暮らして行けるようになります。もしローンの支払いが終わったマンションでも持っていたら、それを売却し田舎で安い住宅を購入すれば、差額が余裕資金となります。同居する若い家族がいなければ、賃貸住宅の方が気楽です。それは修繕や住宅の処分の問題がないからです。金融庁の報告で貯蓄の取り崩しが必要になるのは、住宅の修繕など特別の出費に充てるためです。このように老後は、年金収入または貯蓄額に合わせて生活の場を変えることによって、それなりに生活して行くことは可能なのです。従って、金融庁の2,000万円不足と言うのは、かなり高いレベルの生活を前提した結論と言えます。金融審議会の委員の人たちは、恵まれた生活をしている層に属するので、こういう人たちで議論すればこういう結論になると思われます。それは当然の結論であり、その結論をそのまま出してきた金融庁の報告は真っ当であり、非難される点は何もありません。非難されるべきは、この報告に対して「年金では暮らせない、先ず謝れよ」と反応した野党幹部だと思います。これでは単なる揚げ足取りです。ここで年金の改革案を出せば、その野党は一挙に見直されることになったでしょう。やはり今の野党には政権は任せられないようです。かといって自民党の劣化は酷すぎますし、年金問題の解決は「年金改革党」という「1つの公約の党」を結成して当たるしかないと思います。