学卒高給入社制度、うまく行くはずがない

NECは社外の評価を反映して若手研究者の報酬を決める制度を2019年10月から導入し、新卒でも学生時代に著名な学会での論文発表などの実績があれば1,000万円を超える報酬を貰えるということです。これ以前にNTTドコモやソニーが新卒でも700万円を超える報酬を支給する制度を作ったということで話題となりましたが、NECの制度は700万円が1,000万円に増えただけで内容的には同じようなものと考えられます。要するにAIなどの技術になると研究者の数が限られ、かつ能力差が結果に結びつくため、金に糸目を付けていられなくなったということだと思います。そうならば、700万円とは1,000万円とか制限を置いているだけ中途半端な気がします。これをという研究者がいたならば、報酬1億円でも引っ張れるようにするのが正解だと思われます。

プロ野球の場合、ドラフト1位は契約金1億円を超えています。12球団あるので12人は契約金1億円以上ということになります。プロ野球では1年以上かけてスカウトが何十試合と調査を続け、かつ他の有望選手と比較して絞り込みます。NTTドコモやソニー、NECなどでも時間をかけて研究成果などを調査して候補者を絞り込むものと思われます。

ITやAIでは、成果が個人の能力に依存し、かつ1つの成果物が世の中のスタンダードになる可能性があります。1番以外は負けの世界です。1番になれる可能性のある候補者は10人といない訳で、やはりプロ野球のドラフト1位並みの待遇でもよいように思われます。まだこれらの企業には、会社をプロ野球のようなプロ集団にする覚悟はないようです。

そういうこともありNTTドコモやソニーの新卒に700万円以上の報酬を払うと言う制度は、定着しないと思われます。その前に会社として成果に応じて高給を支給する制度が必要です。それが無ければ、700万円で入社しても将来の展望が見えません。そういう制度があっての新卒700万円だと思います。NECの制度は、若手研究者に限定した制度であり、若手研究者が流出する実態があり、その引き留めのための制度とも取れます。先ずはリストラをしなくても済む会社にすることが先決ではないでしょうか。リストラで辞めて行く社員がいる中で残って研究を続けるのは気持ちよいものではありません。良い会社から引き抜きを受けたら移籍するのが普通だと思います。

新卒としては、先ずその会社の業績、給与水準を調べるべきでしょう。業績が良くない、給与水準がよくないとすれば、いくら高給を提示されても入社しない方がよいと思います。入社後村八分に合う、乃至虐められ、研究どころではなくなります。やはり行くとすれば、業績が良く、給与水準も高く、提示された給与水準の人は珍しくない会社が良いと思います。特別扱いされず、普通に働けると思います。やはり天才は、天才が沢山いる会社、そして天才にふさわしい待遇を普通に実施している会社に行くべきです。そんな会社が最近増えています。