仕事を辞めるピークが45歳と70歳の2つになる?

人手不足が続くなかで、大企業では早期退職の募集が増えているとの報道です。2019年1~6月には上場企業の17社が合計で約8,200人の早期退職者数を発表し、半期で2018年を上回ったとのことです。

最近の早期退職者募集の特徴は、45歳で線引きしていることです。富士通、NEC、カシオ、コカ・コーラ、エーザイ、日本ハム、協和発酵キリンなど去年から今年にかけて早期退職を募集した会社の多くが45歳を基準にしています。確かに会社で40歳を超えると更に経営幹部に昇格する人と、その可能性が無い人とにはっきりと色分けされます。更に昇格する可能性のある人は頑張ることになるし、もうこれ以上昇格する見込みのない人ははっきりとやる気が無くなっていきます。下には体力、気力とも充実した中堅層が控えているので、やる気の無くなった40歳代の人たちの処遇はこれまでも重要な課題でした。これまでは、子会社に出して部長という肩書を与えるなどして社会的に体面を保てるようにしてきました。今早期退職募集が増加しているのは、今後日本の人口の減少が予想されることから、企業規模の縮小は避けられないことがはっきりしたため、それに合わせたサイズダウンに動き出したためと思われます。従ってこの動きは今後弱まることはなく、一層強まると予想されます。

日本の会社は終身雇用と言われますが、入社契約にはそんな文言は無かったし、入社後会社と交わした書面にもそんな言葉はありませんでした。事実上一旦入社したら定年で退職するまで同じ会社に勤める人が多かったことから、そう言われるようになったものと思われます。従って、雇用契約上はこれまでも終身雇用ではなかったし、これからもないという点で同じです。これから就職する人たちは、はっきりと終身雇用なんて無いと考えた方がよさそうです。終身雇用でない企業では報酬も体力や気力が充実した30~45歳までがピークとなることが予想され、その後は計算しにくくなります。そのため、45歳までに老後の資金を確保するような人生設計が必要となります。金融やコンピュータ関連、医薬などの分野では、この時期に高額の報酬が与えられ、このような人生設計が可能となる人も多いと予想されます。この人たちの中には、45歳程度で仕事を辞めてるという選択をする人も増えるはずです。しかし、大部分の人が45歳以降はそれまでよりも低い賃金で働かざるを得なくなると思われます。その場合は今政府が進めている70歳まで働く人が多数出現すると思われます。このようにこれからは、仕事を辞める時期が45歳と70歳の2つのピークになると考えられます。