痛々しいNHK、公共放送の遂行は不可能
NHKは8月9日、午後8時42分から3分間、受信料制度について理解を求める放送をしていました。その中で、受信料制度は放送法で定められていること、最高裁が放送法は合憲という判決を出していることを根拠に、受信料制度の正当性を主張していました。そして、「ルールを守り、きちんと受信料をお支払いいただいている方が不公平とお感じになることのないよう」「公平に受信料をお支払いいただくよう努めてまいります」と述べていました。
NHKは、今起きているNHK制度、受信料に対する反発の意図を全く理解していないようです。否、理解したらNHKが終わってしまうと考えていると思われます。
NHKとしては、受信料制度に対する今の多くの国民の反発を、きちっと払っている人が払っていない人がいることを不公と思っているからとしたいようですが、そうではありません。払っている人が見もしないのに何故払わなければならないのかと不満に思っているからです。自分が払わされることに対して不満なのだから、払わない人がいるのは当たり前だと考えます。払わない人は勇気があってそれができるけど、自分は集金人が怖くてそれが出来ないと考えています。その不満は、これまで自分の中に押さえていましたが、参議院議員選挙でN国党が出てきて、約152万票(選挙区)も獲得し、みんなも同じなんだということが分かり、今一挙に噴出しているのです。
NHKは、放送法や最高裁の合憲判決を盾にしていますが、放送法がおかしいというのはもう国民的見解です。それを国民の代表であるところの国会議員が受け止めていないところに問題があります。また最高裁の合憲判決がN国党の躍進を招いた、即ちN国党の躍進は最高裁への不信任ということができます。放送法は受信設備を備えたらNHKと受信契約を締結しなければならないと定めていますが、これは契約という人間として最も尊重されるべき個人意思の尊重をないがしろにするものであり、明白に違憲です。たぶん法学部の試験にこの問題を出したらほとんどの学生が違憲と書くでしょう。人間の意思は、憲法上公共のために制約されることはありますが、それは代替手段がない場合です。受信料は、見る見ないに関わらず徴収することになっており、NHKも「公平に負担して頂く」と言っている通り、実質的には公共放送負担金、即ち税金なのです。ならば、税金として所得に応じて徴収するのが道理なのです。それを契約と偽装し、所得に関係なく一律2,230円(ある条件下)としていることから、高所得者には何でもない負担でも、低所得者にはとても重い負担となっているのです。不払率約19%は、年間所得200万円未満の世帯数とほぼ一致します。即ち、受信料不払いの根本的理由は、払わないという意思よりも払えないという現実にあるのです。また、NHKの放送内容には、災害放送や政見放送などの公共放送は全体の1割もなく、残りは民放と変わらない内容であり、NHKの実体は公共放送と言えなくなっています。
最高裁は、こういう実体に目をつぶり全員一致で放送法は合憲と判断しました。これは、法務省や総務省などの圧力に負け、違憲判決を出したらNHKが潰れるという現実におののき、最高裁としての矜持を放棄したものです。こんな最高裁に愛想を尽かした人々がとった行動がN国党への投票でした。
N国党が先の参議院議員選挙で獲得した票は約152万票(選挙区)ですが、選挙後N国党が躍進した理由が正当に評価されるに従って、支持者は急増しています。私は、N国党の躍進を昨年初めから予想していましたが、その支持者は受信料不払者と見ていました。しかし、これはどうも間違いのようです。それは、不払率が高い沖縄(51.0%)、大阪(32.5%)、東京(30.3%)ではN国党の得票率が低く(1~2%台)、不払率が低い地方の方が高いからです。これは、払っていない人は払わないのが当たり前で、取り立ててN国党を必要とせず、不満だけど払っている人の方がN国党を必要としているためと思われます。受信料を払っていない人と不満ながら払っている人は、受信対象世帯(約4,600万世帯)の半分以上いますので、これが潜在的N国党の支持者と考えることができます。その数は約3,500万人(1世帯1.5人の有権者)以上なり、N国党は今後の選挙でこれだけの票を獲得してもおかしくないことになります。参議院議員選挙の有効投票者数は約5,800万人であり、N国党が過半数を獲得してもおかしくありません。
こう考えると、NHKはもう終わっています。最近こういう状況の中でNHKの放送を見ると痛ましい限りです。国会議員の皆さん早くNHKを楽にして上げて下さい。